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2015.07.20 Monday

工藤信夫著 真実の福音を求めて を読んだ その8

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     本日も、また工藤信夫著 真実の福音を求めて から引き続きご紹介したい。本日は第7章「いくつかの提言」から後半についてである。

    牧師のいくつかのタイプ

     牧師のタイプということで、いくつかのタイプがあることを工藤さんは、藤木正三著 『生かされて生きる』(いのちのことば社刊)から次のような引用をしておられる。現物がないので、以下はミーちゃんはーちゃんによる孫引きである。

     職人型と言うのは、職業としての牧師に迷いがなく、伝道、教会のプロとして教会にかかわることに誇りと責任を持っていてい、きちんと処理していく、信徒の側から言うと、一番安心してついて行けるタイプです。
     学者型と言うのは、信仰を相対的・理性的に批判しうる思考の幅を持ちながら、神学的にしっかり信仰を理解して、教会を導くタイプ。信徒の側から言うと勉強させられながらついて行くタイプです。この二つのタイプは両立します。
     芸術家型というのは、信仰に迷いが在り、牧師である事にも迷いが在り、それを告白する場として教会を生きているタイプ。信徒の側から言うと、信じるというよりは、生きることを考えさせられて、生かされている存在としての自分に深まって行くことを促されるタイプです(藤木著『生かされて生きる』pp.52-53 『真実の福音を求めて』pp.105-106)
     昔のキリスト教関係者には、植村正久にしても、賀川豊彦にしても、中田重治にしても、どちらかというと、親分肌というか、職人型のタイプが結構多いような気がする。その意味で、腕まくりしながら演説ぶっているというか、説教ガンガンやっているという雰囲気がある。まぁ、当時の時代背景から考えて、学生や失業者など暇を持てあましている大量の人々がいたので、こういう説教パターンは案外受けたのかもしれない。まぁ、この時代の説教パターンが結構いまだに残っている教会もあるかもしれない。なお、賀川豊彦先輩は、学者肌でありながらも職人肌の部分もある程度強いと思う。


    植村正久先輩

    中田重治先輩

    賀川豊彦先輩

     この時代の説教者のうち内村鑑三は、学者肌でありながら、芸術家肌である様な気がする。このタイプの説教者を何人か存じ上げているが、これらの方々は、非常にナイーブなちょっと線が細い方が多いような気がする。そういう牧師さんたちの説教はなかなか魅力的なものがある。

     ミーちゃんはーちゃんは牧師ではないが、説教は時々するので、その意味で、完全にキリスト者としては学者型の人間であるといってよいだろう。まぁ、世俗の仕事が一応学者の端くれでもあるので、そうである可能性が高い。

     この辺の牧会者の分類は議論の前提でもあるので、ここに関しては、あぁ、何となくそうかなぁ、と思う、にとどめたい。

    疎外問題が起きやすいタイプ

     工藤さんが述べておられる一種の教会内疎外の様な課題を抱えることが多いタイプの牧会者とはどのような人々であろうか。
     さて、このように三つに分けた場合、学者タイプや芸術家タイプの教会では本書が問題にしているような表だった疎外は比較的少ないのではないかと思われる。(『真実の福音を求めて』p.106)

     『真実の福音を求めて』の著者が問題にしているような親分肌、職人気質だと、問題を生むというのは、わかる気がする。基本、親分肌・職人肌のリーダーで有名な人物だと、立志伝中の人物でもあることも多く、創業期の本田宗一郎氏などのように一代で後の大規模な組織を形成するような人物であるから、まぁ、めちゃくちゃな部分はある。気に入らないことがあると、すぐげんこつが出るというか、スパナ持って社員を追い回したりとかである。ある面道理ではないから、困るのだ。牧会者が職人肌だとだめだとは言わない。しかし、職人肌だと、パッションが優先するので、学者肌のように話し合いができない人もいたりはするので、あわない人が出てくるのも確かではある。


    学者肌の司牧の問題

     ただ、学者肌の司牧の問題は、感情的な対立ではなく、神学上や学問上、聖書理解の問題となりやすいことを次のような文章でご指摘である。
     学者タイプの教会には、教義をめぐっての論争、分裂が怒るかもしれないが、対人関係のトラブルは少ないかもしれない。というのは、っこういうタイプの牧師の関心は学問におかれているため、人間に対する関心は二義的なものになるかもしれないからである。(中略)と言ってもこのタイプの教会は、正論やその正統性をめぐっての議論に発展すれば、その内実たるや寒々としたものになる恐れがある。トゥルニエは『生の冒険』(ヨルダン社)の中で「神の名において語ると称する人々の争いほどしつこいものはない」と明言している(同書 p.223)
     これにはミーちゃんはーちゃんとしても多々思い当たる節がある。というのは、学者肌の人間にとって、いい加減なことを言われること、本当に理解していない可能性がある方が思い付きやその場でなんの深い考えもなく、物を言う人のその一時しのぎのような、あるいは深い理解に基づかない安易な発言に我慢できないのだ。普段、自分自身が、深く思いを巡らせていることがぞんざいに扱われたような気がして、それに耐えられないので、言わなきゃいいのに、言ってしまいたくなる、のではある。このことから、正統性を巡る議論に発展しやすく、そして、「内実たるや寒々としたものになる」という議論をやってしまうのである。

     学問の世界は、この理解を巡る研ぎ澄まされた刃でチャンチャンバラバラのチャンバラをやる世界であることが多く(特に欧米系ではそうである 朝まで生○○なんてのはおままごとに見える世界であり、レベルが低く見えてしまう世界であり、素人が手出しすると怪我しかねないのだが)、つい遠慮会釈なくそのチャンバラの技術をお見せしてしまうのである。そして、議論の切れをよせばいいのについ見せてしまうのである。つい本気が出てしまうのである。まぁ、それは学者としての善意でもある。

     そのあたりは、映画『大いなる陰謀』で、ロバート・レッドフォード扮する大学人とあほなお気楽脳天気な学生の対話などによく表れている。大学人の悪い癖は、自分の興味ある関心はやたらと詳しいが、それ以外はどうでもいい、と思っているところである。その辺が非常につらいところではある。


    映画 大いなる陰謀 予告編

    職人肌の牧師の問題
     職人肌の問題は、ある面で、教会に関与することをこまかなことまで、一生懸命やって、そして、教会運営を大事にしておられるように思われる。ところがこの熱心さや個のかかわりが案外問題を生むのではないか、と工藤先生はお書きである。
     問題は、職人タイプの牧師である。『生かされて生きる』に出ているような、「職業としての牧師に迷いがなく、伝道、教会のプロとして教会にかかわることに誇りと責任を持っていて、きちんと処理していく、信徒の側から言うと、一番安心してついて行ける」と言えば聞こえはいいが、実際は経営者であり、信徒管理、教会運営とい言う大きな問題をうちにはらんでいる。
     その一つは、牧会という名の干渉である。私がこのことに気づいたのには、二つの忘れがたいエピソードがある。(『真実の福音を求めて』p.107)
     なんでも皆さんのためにやってしまう司牧は、ある面、信徒の成長の機会と自由を奪ってしまい、信徒を依存体質にもっていく部分はあるかもしれないと思う。ある面、神に信頼して生きるという信徒の冒険の機会を奪ってしまうのではないか、と思うのである。

     ここで、経営者的要素、信徒管理、教会運営という語が牧会という語の代わりに出てくる。イエスは、少なくとも群衆を相手にしたし、その管理なんかは全く意に介さず、あまりに長時間一緒にいるのを見て、あぁ、この人たちはおなかがすいているので、弟子たちに何か食べさせてやりなさい、という程度のまぁ、ある面無神経男的な発言が結構見られる。そして、だれが来ているのか、だれが来ていないのか、ということもああ力にしていなかったように思う。まぁ、神であるがゆえに、それくらいのことはやろうと思えばできたはずだし、いとも容易に人ひとりに注目をなされていたとは思うが、そんなことはおくびにお出さず、過ごしておられる姿のように、福音書の中で示されたイエスを見ていると思えてしまう。子どもが泣いていても、騒いでいても、それを見て怒るでもなく、子供たちを追い出そうとした弟子たちに、「それって、どうなの?」とニコニコ笑いながら言っておられるような雰囲気がある。

     ここで引用した部分の最後の部分の続きに実に印象的なエピソードがあるのだが、それは、是非、『真実の福音を求めて』をお買い上げいただき、ご清覧頂けたら、と思う。ぜひそうされることをお勧めいたします。

    まだまだ続く




     
    評価:
    工藤 信夫
    いのちのことば社
    ¥ 1,296
    (2015-06-05)
    コメント:大絶賛、おすすめしておる。

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