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2015.03.08 Sunday

NHKこころの時代 「この軒の下で」 視聴記

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     別に意識していたわけではないが、MinistryのM編集長が、ツィッターでつぶやいていたNHKこころの時代がなかなかよさげ、だと思っていたので見た。

     北九州で、ホームレス支援をしている東八幡キリスト教会の牧師 奥田知志さんのインタビューであった。

    教会とは何か?神の思いを求めるとは何か?

     いやぁ、これがいいのである。何がいいのか、というと、教会とは何か、ということを語られると同時に、神の御思いを求める、ということがどういうことか、弱さとともに生きるということがどういうことか、痛みとともに生きるということにまねかれるということがどういうことか、人になる、ということが奥田さんがこれまでの人生で出会ってこられた人とのかかわりの中で、如実に表されているようなインタビューであったのだ。

     まさに、ジャン・ヴァニエやナウエンが行っていることを日本で実地に体験された方のお話しであり、何ともいい難い思いが今なお残っている。

     最初は、この方、ひょっとしたら、ラウシェンブッシュに傾倒して?という感じでお聞きしていたのだが、どうもそうではないようだ。完全浸礼式の洗礼のシーンが出ていたので、Anabaptistの系譜かBaptistの系譜に属する教会の様である(調べたらバプテスト連盟の教会)。しかし、お話しを聞くと、まさしく、ナウエンのコンパッションという世界を生きられてきた方であったようだ。

    教会と信徒と弱さの中に生きること

     一番印象的だったのは、奥田さんが牧会の傍ら、北九州でホームレス支援をする中で、教会の中で分裂がおこり、奥田さんがあまりにホームレスばかりを向いているので、教会から離れる人たちが出た時のことを回想しながら、奥田さんがおっしゃったことばである。牧師が牧師の職分として信徒を世話し、あるいは弱き人を世話するのではなく、信徒も、その牧会の中にまねかれている、弱き人をケアする、あるいは弱き人を弱き人がミニストリーするその権利というか役割を奥田さんが取り上げていた、という正直な思いを話されていたことである。実に正直な思いであったと思う。つまり、牧師と信徒だけで教会が形成されるのではなく、信徒が信徒とともに形成していくという信徒共同体の側面への言及であったと思う。

     日本の多くのキリスト教会は、過去のアメリカ型の伝道体制(現在絶賛公開中の 『反知性主義を読んだ』シリーズで思いを書いている途中)で来たために、ヨーロッパの教会群が、コンスタンティヌス的教会という課題も負いつつ蓄積してきていたこの共同体性概念を失い、共通の場の形成とそこでの支援というものを失ってきたと思うし、また、強者こそ正義(義)であるとするアメリカ型のキリスト教的思想がキリスト教界の一部を覆ってきた。

     そのことを現代の北米社会において痛烈に批判したのがジャン・ヴァニエであり、ナウエンであったように思う。そして、弱さへの道、小さき者への道において、神と出会うという以下の言葉の重要性を問うたのが、ヴァニエであり、ナウエンであったのだと思う。

    口語訳聖書 マタイの福音書
     25:34 そのとき、王は右にいる人々に言うであろう、『わたしの父に祝福された人たちよ、さあ、世の初めからあなたがたのために用意されている御国を受けつぎなさい。
     25:35 あなたがたは、わたしが空腹のときに食べさせ、かわいていたときに飲ませ、旅人であったときに宿を貸し、
     25:36 裸であったときに着せ、病気のときに見舞い、獄にいたときに尋ねてくれたからである』。
     25:37 そのとき、正しい者たちは答えて言うであろう、『主よ、いつ、わたしたちは、あなたが空腹であるのを見て食物をめぐみ、かわいているのを見て飲ませましたか。
     25:38 いつあなたが旅人であるのを見て宿を貸し、裸なのを見て着せましたか。
     25:39 また、いつあなたが病気をし、獄にいるのを見て、あなたの所に参りましたか』。
     25:40 すると、王は答えて言うであろう、『あなたがたによく言っておく。わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者のひとりにしたのは、すなわち、わたしにしたのである』。
     25:41 それから、左にいる人々にも言うであろう、『のろわれた者どもよ、わたしを離れて、悪魔とその使たちとのために用意されている永遠の火にはいってしまえ。
     25:42 あなたがたは、わたしが空腹のときに食べさせず、かわいていたときに飲ませず、
     25:43 旅人であったときに宿を貸さず、裸であったときに着せず、また病気のときや、獄にいたときに、わたしを尋ねてくれなかったからである』。
     25:44 そのとき、彼らもまた答えて言うであろう、『主よ、いつ、あなたが空腹であり、かわいておられ、旅人であり、裸であり、病気であり、獄におられたのを見て、わたしたちはお世話をしませんでしたか』。
     25:45 そのとき、彼は答えて言うであろう、『あなたがたによく言っておく。これらの最も小さい者のひとりにしなかったのは、すなわち、わたしにしなかったのである』。

     そして、これらのことを通して、神の御思いがなりますように、ということの主のいの一部で言われていることが、忘れ去られてきた。そしてイザヤ書のこの言葉が実現することも我等は忘れてきていたかもしれない。

     口語訳聖書 イザヤ書
    61:1 主なる神の霊がわたしに臨んだ。これは主がわたしに油を注いで、貧しい者に福音を宣べ伝えることをゆだね、わたしをつかわして心のいためる者をいやし、捕われ人に放免を告げ、縛られている者に解放を告げ、
     61:2 主の恵みの年と
      われわれの神の報復の日とを告げさせ、また、すべての悲しむ者を慰め、
     61:3 シオンの中の悲しむ者に喜びを与え、灰にかえて冠を与え、悲しみにかえて喜びの油を与え、憂いの心にかえて、さんびの衣を与えさせるためである。こうして、彼らは義のかしの木ととなえられ、主がその栄光をあらわすために
     植えられた者ととなえられる。

    HouseがあるがHomeless
     いま、主催する明石のヘンリー・ナウエン研究会では、Finding My Way HomeのThe Path of Powerを読んでいるのだが、実にその本で言われていることと深い関係があった。特にホームレスを夜中に襲撃する中学生に対して、ホームレスの方が奥田さんに言われた言葉が非常に印象的であった。「彼らは住む家はあるが、帰るべき家庭がない。そのことはホームレスであるだけによくわかる(大意)」
     ホームレスを襲撃する中学生には、物理的な屋根や軒を提供する場所としてのHouseはあるが、夜中に徘徊する彼らを誰も心配していない、心配しているはずの人の集まりであるべきHomeがない、ということを指して言われた言葉である。

     このことばをききながらミーちゃんはーちゃんがおもったのは、まさに、近時の川崎でおきた中学生の殺害事件そのものの構図である。彼らには確かにHomeがないという意味で、精神的な、心理的な、そして、霊的なHomelessであったのかもしれない、ということをミーちゃんはーちゃんとしては思うのである。


     再放送は、来週土曜日 3月13日 午後1時からEテレにて 御視聴を強くお勧めする。

    東八幡キリスト教会牧師・NPO法人抱樸理事長 奥田知志

    こころの時代〜宗教・人生〜「この軒の下で」

    昨年夏、北九州市の教会に「軒の教会」と名付けられた新会堂が完成した。25年以上にわたってホームレスの自立支援を行ってきた人々が、会堂に込めた思いと願いとは。

    東八幡キリスト教会の牧師・奥田知志さんは、牧師となった当初から、路上で暮らさざるを得ない人々が地域で自立した生活を取り戻す手助けをしてき た。長年の活動で学んだのは、家や仕事など物理的条件以上に、当事者の人生に最後まで伴走する「人との関係」が、支援には肝心だということだった。関係を 結び共に生きる時、人は互いに傷つけ合うことがある。その傷を引き受け、なお共に生きようとする世界はいかに開かれるのか伺う。

    【出演】東八幡キリスト教会牧師・「抱樸」理事長…奥田知志,【きき手】山田誠浩


    評価:
    ジャン・バニエ
    あめんどう
    ¥ 1,296
    (2010-08-20)
    コメント:お勧めいたしております。ジャンヴァニエの名作

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