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2015.02.19 Thursday

日本型神学を目指したが故の「日本基督教団より大東亜共栄圏…」

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     先日、ある関西での私的な神学サロンに行ってきた。ある京阪沿線の教会で行われている研修会であるけれども、研修会と称するよりは神学サロンという方が近いであろう。基本様々な異なるキリスト教の伝統にのっとっているキリスト者グループから牧師さんたちを中心とする参加者がいろんなネタを持ち寄りながら、ああでもない、こうでもないという楽しい会である。

    サロンのような場での聖戦を巡る議論
     そこで、「聖絶」をどう考えるか問題(予定原稿を見る限り、聖なる戦争、義なる戦争が存在するかどうか問題)のサロンのはずだったはずだったのだが、講師の方の教会員の方がご逝去が近いということで、講師が不在になってしまった。そこで、サロンのホスト(といっても、博多弁でしゃべるヒロシのようなホストではない)の先生が、ご自身のご関心の深いアメリカ神学と聖戦意識を中心にいろいろネタを持ち出しながら話していった。


    一世を風靡したヒロシ

    サロンのような場での話題

     その中で、クルセードという言葉を何の気なしに発言したジョージ・W・ブッシュのように、なぜ、すぐさま聖戦意識になるのか、というあたりを切り口に議論を進めていった。アメリカの憲法修正第1条や教会の関係、アメリカ社会における教会の意義とか、アメリカ人にとって、自由と平等が宗教のようなものであり、それが攻撃されると突然怒り始める国民性だの、アメリカの戦争のためには、何らかの正義の根拠が求められることや、キリスト者の大統領ばかりなのに、戦争していることが多いとか、また、戦争否定の人が多いメノナイト派などでも戦争に対する態度は一様でないとか、カトリックとプロテスタントを巡る現在の関係とか、カトリックの聖書学のあり方に学ぶところが多く、非常に癖のない聖書理解をご提示しておられるとか、とおはなししておられた。

     そのなかで、日本の神学を考える上では、やはり、国家とキリスト教を考えるためには、アウグスティヌスまでもどって考えざるを得ないとか、日本の天皇制をもっときちんと分析する必要があるとか、ドイツルター派の思想と大日本帝国と、大日本帝国憲法との関係などを含め、日本の神道理解を文化的レベル、古代神道のレベル、国家神道のレベル、中世民衆史のレベル、民族誌のレベルにわけて、議論する必要がある、などといった高尚なディスカッション(決して雑談ではなかったことは断言しておこう)を楽しんでいた。

     
    ジョージ・W・ブッシュのIraqでの戦闘開始の時の発言(アメリカでその時に見ていた)


    基本、アメリカの神学の影響を受けた日本
     その中で、日本の教会の成立史の検証が必要であり、明治時代のキリスト教が、倫理としてのキリスト教として受け入れられていたこと、一方でユニテリアン的な合理的なキリスト教の影響がありながらも、それに否定的なあまり、聖書原理主義的な動きが生まれたり、それがそのまま、日本の戦前の教会になだれ込んだことや、日本社会で教会が存在することの意義とか、大正期のキリスト教が、倫理の上に教理の理解を深めようとしていたことなどの非常に真摯かつ紳士的で実に印象的な議論がなされていた。

    アメリカ神学の否定と戦争中の日本の基督教
     その議論の過程の中で、北のお百姓トンちゃん様のブログ記事 金の子牛の上の主(ヤハウェ):「日本基督教団より大東亜共栄圏に在る基督教徒に送る書翰」について思うこと  をブログでご紹介したら、山崎ランサムさまがブログで、もともとご発表論文だったものを記事としてご紹介してくださったり、沖方牧師で大ヒット連載が終わったばかりの大杉さまがまた、ブログで、過去の歴史的文書のご紹介やら、そのおまとめやらをしてくださっていたり、また、敬愛している関口さまが、また、ブログでカール・バルト(以下、バルトと表記する)だから「日本基督教団より…」となったのではないか、と応答を書いてくださった経緯をちょこっとお話ししていた。そうしたら、ホストを務めてくださった、久○さまが、戦前のバルト神学の受容の問題をお話ししてくださり、基本、バルトは、自由主義(リベラル派の)神学であり、いわゆる自由主義神学、科学万能の時代の神学が支配して、それを自由主義神学の内部から否定というか超克しようとしたのがバルトであることをお話ししてくださった。つまり、聖書を合理的に取り扱おうとするリベラル系のドイツ神学の中で、啓示をどう考えるのかを考え、その中でバルトは科学万能時代を支配しようとしたシュライエルマハー(?)との対峙、即ち自由主義神学の中からその限界を超克しようとした、ということは重要ではないだろうか、ということをご指摘いただいた。また、日本は、1930年代まで、アメリカの神学の輸入とその日本での再解釈を倫理の面、そして、教義の面で検討してきていて、アメリカとの関係がまずくなる中で、ドイツの神学を取り込もうとした時に彗星のごとく現れていたバルトに心酔する人々が出てきて、それを吸収しようとしたのではないだろうか、というご指摘があった。

    人生いろいろ バルトもいろいろ

     なお、以下の3枚の絵はカール・バルトとは直接関係ない。


    アニメ バルト

    「バルト 大相撲 日本相撲協会」の画像検索結果
    把瑠都(日本相撲協会)


    ロラン・バルト

     何、これらの写真は三段落ちをして遊んでみたかっただけである。お付き合いいただき感謝。

     なお、カール・バルトはこの丸眼鏡のおじさんです。

    新教出版さんのカール・バルトの本の表紙のバルト先生の写真



    非米国依存の選択肢としてのバルト神学かも?

     このお話を聞きながら、あぁ、アメリカや大英帝国の神学を否定しようとしたがゆえに、結果として、それらの国家と対峙関係にあったドイツに目を向けざるを得なかったのかもしれない。従来幅広い日本のキリスト教が、伝道や教会運営の面で米国にかなり大きく依拠し、神学的思惟に関しても科学万能の時代、金ぴか時代のアメリカに依存してきた結果、アメリカの神学を席巻していた自由主義神学、リベラル派的な神学を否定しようとするためには、自由主義神学を内部から突き崩そうとしたドイツ神学、中でも、バルトに向いていかざるを得なかったのは、ある面、理の当然か、とミーちゃんはーちゃんは思ったのである。なお、フランスなどの他の西洋諸国は、基本カトリック国なので参照不可であったり、北欧は研究者が少ないので、目が向かなかったのかもしれない。

    非米国型合理主義的信仰の否定
    としての日本の神学とバルト

     それ故にやたらと勢いがあって、鼻息の荒かったドイツ神学、さらに、その中でも、合理的な志向性以外のものも受け入れ可能に見えたバルトが選択されたのだろうかとミーちゃんはーちゃんは思ってしまった。つまり、合理的なものだけではない事柄を受け入れ可能に見えた神学としてバルト神学が選ばれた可能性はないだろうか、ということを考えた。すなわち、日本精神、『やまとごごろ』をキリスト教に接ぎ木する存在として、バルト神学が選ばれてしまったという不幸なことがあったのではないか、ということを思ってしまったのである。そして、バルト神学風の非バルト神学が日本で作られた結果、「日本基督教団より大東亜共栄圏にあるキリスト教徒に送る書簡」という文章がつくられたのではないか、という実に厨二病患者らしい気宇壮大といえば聞こえがいいが、めちゃくちゃな仮説を思いついてしまった。

     確かにバルトは、ナチスドイツに抵抗したというよりは、多分ナチスドイツをスルーしたのではないだろうか、と思う。まぁ、スイス人だったということもあるのでしょうけど。このあたりは、ドイツ語をきちんと読める碩学と日本の歴史神学に興味をお持ちの方に是非ご検討していただきたい作業仮説だなぁ、と思う。ミーちゃんはーちゃんは、ドイツ語読めない(読んだら頭が痛くなる)ので、あきらめている。自慢ぢゃないが、第2外国語はフランス語であったので。

     まぁ、キリスト教学を傍目で面白がっている素人が考えたことなので、個人的には帰無仮説(Null Hypothesis)と対立仮説(Alternative Hypothesis)を

    H01:大日本帝国にふさわしい神学だからこそバルト。(帰無仮説)
    H11: H01でない(対立仮説)

    H02:バルトだからこそ、「日本基督教団より大東亜共栄圏にある基督教徒への手紙」(帰無仮説)
    H12: H02でない (対立仮説)

    として設定して、H01とかH02の仮説棄却されたら、まぁ、それはそれで、そうだったか、と思うだけである。誰か、この帰無仮説H01とかH02とが意味がなかったと証明してくれないかなぁ。まぁ、無に帰するようなナンセンスな仮説だから帰無(Null)仮説というのだが。

     誰か、まろのために、やってたも〜〜〜(久しぶりにおじゃる丸登場)







     
    評価:
    J. I. Packer
    Eerdmans Pub Co
    ¥ 1,410
    (1984-07-01)
    コメント:良いと思います。

    評価:
    ---
    ジェネオン・ユニバーサル
    ¥ 1,000
    (2012-11-02)
    コメント:アラスカで伝染病のための薬品を運んだ名犬バルトのアニメ

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