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2014.12.31 Wednesday

イノベーション・ゲーム理論・聖書理解・日本のキリスト教 (1)

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    ゲーム理論の説明


     イノベーション関係でのらくら者の先生が面白い記事をお書きであったので、調子くれて記事を書いていたら、ゲーム理論がわかるように説明してほしいと言われたもので、わかるように説明してみましょうか、と安請け合いしたものの出来るかどうか不安ですが、やってみようかと思っています。

     まずは、例題として、男女間のバトルという有名なゲームから説明してみようかなぁ、とおもいます。まず、男性と女性二人の好みが違いのある人が1台しかないテレビで、どちらか一方の放送をライブで見ようとしている状況を想定してください。それぞれの好みを次のようなものだと想定してください。

    問題の設定

     男性は、アメフトのローズボールをテレビのライブ放送で見るのが好きで、女性は、フィギュアスケートをテレビでライブ放送しているときに見るのが好きな状況を考えるましょう。この時、うちにはテレビが1台しかなく、さらに、同時刻にローズボールとフィギュアスケートのうちどちらか一つを見るかしかないとします。

     この時にどっちの番組を見ることになるか(もめごとが起きかねない状態)、というようなことをモデルにして、単純化して考えるためのツールが、基本的にはゲーム理論ということになります。

     ビデオがあるではないか、という話はいまのところなく、この二人はどちらかしか選択できないものとしましょう。ビデオがあるではないか、というのはどちらかというと、メタ思考的発想です。

    ゲーム理論って何じゃらほい?

     もう少し言うと、社会にある様々な行動や選択の結果生じる利益や損失を考慮に入れながら、その社会の中で関与する人々の間でどういった選択が行われ、その結果どのようなことが発生するのか、ということをごくごく単純化して、わかりやすい例にしたうえで考え整理するのが、ゲーム理論の考え方なんです。


    結果がどうなるかの閉じた扉の先を予測するのがゲーム理論


    最もシンプルなゲームの設定

     かりに、ローズボールをライブで見た場合の男性の嬉しさは、3万円分の現金プレゼントをもらえた時の憂いさとしましょう。しかし、女性は、いやいやローズボールを見るのに付き合って見るので、悲しくはないけれどもつまらないので、いまと大差ない状態としましょう。つまり、うれしさは0円分と想定します。

     逆に、フィギュアスケートを見た時の女性の嬉しさは、現金3万円プレゼントと同じぐらい嬉しいとしておきましょう。その時、男性は、悲しくはないけれども、我慢してみるので、うれしさは現在と変わらず、0万円分としておきます。

     両者ともに、自分自身の選択に固執し喧嘩が発生すると、お互いにそれぞれ、非常に不愉快な思いをするので、それぞれにとっての嬉しさは、-2万円としておきましょう。これも問題をわかりやすくするための設定です。

     この時、それぞれがどちらのチャンネルを主張するのか(このチャンネルに当たるものを戦略と呼びます)、そして、どういう状況が生まれるのか(これをと呼びます)、そこで発生する嬉しさや哀しさの状況(これを利得と呼びます)が最終的にどうなるかということを考えるための枠組みが、ゲーム理論です。

     上のゲーム(設定)のような場合、男性にとっても、女性にとっても、どちらかを取ることが、より有利となる選択肢(優位となる戦略、またはドミナント戦略と呼ぶ)としては存在しておらず、その点で男性にとっても、女性にとってもどの番組を見るかが決められない(どちらの戦略を選ぶのがよいかが決められない)ような状態は一度で決まらないことになります(こういう状況を安定的な均衡解が存在しない、といいます)。どのような状態になるかは、現在どの選択肢(戦略)この嬉しさ(利得)だけでは定まらないことになります。

    それぞれの利得が変われば、解が変わる

     ところで、上の問題を少し変わったときのことを考えましょう。女性の出身校が、ローズボールに出場していることに気付いたとしましょう。すると、女性もローズボールをみた場合の嬉しさが現金3万円プレゼントを受け取ったときと同じようになったと仮定します。

     また、インフルエンザがフィギュアスケート選手の間で流行って、フィギュアスケートの人気選手が軒並み出場辞退し、フィギュアスケートの番組そのものに女性もあまり興味がなくなり、女性も男性もその番組を見ることになったときの嬉しさが0万円となった状況を考えましょう。

     さらに、お互いが違う選択をしたとしても、どうってことなくて、それぞれが、「ああ、相手は自分のことを思いやってくれているのだ」と嬉しくなって、嬉しさが1万円分の現金プレゼントをもらったのと同じ嬉しさだ、ということを考えましょう。

     こうなったとき、男性にとっても、女性にとっても、テレビで一緒にローズボールを見ることが一番うれしい状態となりますから、選択される戦略は男性にとっても女性にとっても、ローズボールを見る、ということになります。つまり安定均衡解として、ローズボールを見る、が選択されることになります。なお、この場合、男性にとっても女性にとっても、ローズボールを見るというのが、ドミナント戦略になります。

     こういう、世の中にあるもめごととか、ちょっとしたもめごと状態を、それぞれがある選択(戦略)を取ったときに、それぞれにどのような利得(メリットやデメリット)が生じるのか、という枠組みに落として考えるのが、ゲーム理論の枠組みです。

    パスカルの神と人間の関係のゲーム理論

     まぁ、一応キリスト者のブログでもあるので、これに関して、聖書とのかかわりある事例を紹介したいと思います。人間が神を信じるかどうか問題に関して、パスカルがパンセの中で、完全な形でないまでも、ゲーム理論的なアプローチで説明しています。ただ完全なゲーム理論的な枠組みではなく、その手前の状態で説明しています。その説明では、神がいようがいまいが、結局人間には、神とその存在に賭けるのがよい、ということを指摘していますが、神とその存在にかけることそのものが信仰そのものでないことも指摘しているらしいです。パルカルの研究者じゃないんでわかりませんが。詳しくはパンセをお読みくだされ。なお、この議論では、誤解や問題設定が歪められていることも多いらしいようですが。詳しくは、Wikipediaでの「パスカルの賭け」がかなりまとまっているので、そちらを参照していただければ、幸甚です。



    Pascalの賭けとHomer Simpsonの賭け

     なお、Homerの賭けのばあい、そうですね、神でないものを神とするなら、神から離れるよね。その場合、神は怒るというよりは、悲しみのあまり気が狂いそうになるかな。

    ゲーム理論のさまざまの拡張
     これらのゲーム理論は、最もシンプルな場合で、この種の研究は、この前提を変えたらどうか、あそこの利得を変えたらどうなるか、で解はすぐに変わってくる。お互いが情報を交換しあえる場合(シグナリングの有無)、繰り返しがあるとどうなるか、学習があるとどうなるか、社会全体のパイを一定と考えるとどうなるか(ゼロサムゲーム・非ゼロサムゲーム)と、まぁ、非常に細かな拡張モデルはかなりございます。

    ゲーム理論の応用分野

     それを個別の企業の動きや産業社会の構造を説明しようとするものとしては、下記で紹介するTiloreのThe Theory of Industrial Organization(確か600ページくらいあったと思う)がよかったように思います。ちょっと古いけど。この本では、産業組織論(産業社会での企業間関係を分析する学問)や労働経済学という経済学の分野でのゲーム理論を適応した多数事例がございますし、論文ベースでは、日本の護送船団方式や日本企業の系列形成の背景などを説くのにゲーム論を使ったものや、なぜ、社会で人や企業が群れるのか(Herding)に関する研究、金融論でのシンジケートローンの組成、まで、ちょっとミーちゃんはーちゃんが袖触れ合った研究分野だけでも、ごまんとございます。

     あとは、確率的に選択肢のどちらを選ぶのかが変わる場合とか、そんなの入れると、もはや数学の世界になってきて、主観確率を扱うベイズ統計がどうのとか、拡張したゲーム理論はいろいろでございます。この辺は合意形成を題材に取った、Raifaが比較的入門的で読みやすかった記憶があります。それでも、400ページ越えだったと思います。

     おそらく、旧来の主流派から脱して、従来なかった標準への移行という形で発生するイノベーション、そして、それが定着するという社会過程は、群れを形成するゲーム理論の一応用分野だろうと思います。


     次回へと続きます。次回は、日本のキリスト教界の15年戦争期の歴史を例にとり、ご説明します。あと、キリスト教徒として天皇制に関して、ミーちゃんはーちゃんが思うことと、なんでそんなことを思うのか、という個人的背景と、英国の王室と英国人についても少しふれます。(正月早々、こんな話題を、って思うかもしれませんが、たまたま、めぐり合わせでございます。)







    評価:
    Howard Raiffa
    Belknap Press
    ¥ 4,570
    (2007-03-31)
    コメント:ゲーム理論を、合意形成に当てはめるためのモデルの説明と、そこでどのような買いが生まれるかを示した本。数式がちょっと出てくるのですが、まだ少ない方。

    評価:
    Jean Tirole
    The MIT Press
    ¥ 9,181
    (1988-08-26)
    コメント:1990年代初頭にこれで、勉強した。いまでは古典かもしれない。

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