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2015.09.02 Wednesday

情報の非対称性と認知の非対称性 教会を巡る見えないカベ(1)

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      以前のある記事に関するあまり関係のないコメントで、気づいたことがあるので、今日はそれを記事にしてみようか、ということを考えてみた。


    あるコメントから
     そのコメントとは、以下のようなものである。H様という方からのFacebook上でのコメントである。
     垣根を低くして分かりやすいメッセージに努めていたり、賛美コンサートを毎回する所もあります。単なる人集めに終わるのではなく本当に入ってもらうには心から聴く・・・
     これを見て、ふと思ったのだ。というよりかは、のらくら者日記の先生のFacebook上の記事だったと思うのだが、のらくら者先生のところでは、下記で紹介した、八木谷涼子さん著 『もっと教会に行きやすくする本』はいらないし、教会図書においてあるけど誰も読まない、ということであった。一度だけ、所用の途中にのらくら者先生の教会の日曜日にアポなし突撃訪問させてもらったことがあるが(先生、その節はありがとうございます)、確かにこの教会だったら、この本はいらないかも、と今になってみれば思う。しかし、こののらくら者先生のところの現実と、H様からのコメント、両者が合わさって、あることを思ったのである。

    「もといき」が要らない教会
     八木谷涼子さんの「もっと教会を行きやすくする本」が要らない、誰も読まない、というのが本来の教会の姿であるのではないか?というご見解は、その通りであろう。ミーちゃんはーちゃんとしては、すべての教会が個人的にはそうなってほしい、と思っているが、現実には、八木谷さんの本で指摘されている小さな不親切や自分たちが当たり前と思っていることの結果としての行動の積み重ね(本人たちは善意でしてたり、あまりに習い性になっているので意識なしにそれをしているから困るのであるのだが)で意識せずに教会側が新来会者に対して無意識のハードルというか、壁を作っているというか、垣根をあげている例も少なくないのだ。全く初めての教会に一人で参加して見られたら、それが見えることもあるだろう。

     FacebookでコメントをくださったH様のコメントの御主旨は、コンサートとか、わかりやすいメッセージにして垣根を低くしても、傾聴をすると行った精神性がなければ、相も変わらず高いカベを構築したり、垣根が高くなったり、教会のハードルは相も変わらず高いままではないか、ということであり、世間から教会の中身が十分理解されていない、ということをご指摘なのだ、と思うのだ。

    情報の非対称性の存在

     で、何が言いたいか、というと、実は教会内外での情報の非対称性が発生すると同時にその教会に対する認識の非対称性が教会の内外で生じているのではないか、ということなのだ。

     情報の非対称性というのは、ゲーム理論なんかでよく使われる概念で、金融・経済用語辞典と称するサイトのコピペをしておくと、
     情報の非対称性(じょうほうのひたいしょうせい)とは、市場取引における買い手と売り手の当事者同士が保有する情報が不均衡であることを指す。通常買い手は、商品に対する品質等の情報について詳しくは分からないが、対する売り手は詳しく把握している状態を指す。

     情報の非対称性が生じている場合、取引当事者のうち情報が少ない方が不利となる。このため、市場における取引自体が円滑にすすまない場合がある。

     なお、アメリカでは、情報の非対称性が大きい市場として中古車市場が挙げられ、こうした情報の非対称性が生じている市場を「レモン市場」と呼んでいる。

    となっていた。まぁ、大体、これでいいと思う。要するに『あることを言っている人(話し手)』と『あることを聞いている人(聞き手)』との間で共有あるいは共通理解として合意されている情報とその内容が両者の間で違っているために、両者相互の間で誤解が生じやすく、その誤解に乗っかって、どちらか一方が、一方的に不幸(損をしたり、搾取が行われたり)が起きやすくなる環境を指す言葉である。中古車は技術に詳しくない人は、車の問題が見抜けないので、買い手側が損することが多いようである。アメリカでは中古車屋は、仕事上、事実を言わない(いわゆるウソをつくこと)が多いため、死後神と共に生きられない職業の一つであるとされている、という話をアメリカ滞在中、何度か耳にした。

    教会における非対称性

     教会の例でいうと、『教会の中にいる人(教会員・牧師)』と『教会外の人(非教会員、普通の人)』の間で教会を巡って共有、あるいは共通理解として合意されていることが案外少ないために、教会を巡る不祥事や思い込みに基づく不幸、あるいは思い込まされたことから派生する不幸が起きやすいという現象である。

     例えばどんな不幸があるか、というと、
    • 最初に出会った教会が唯一正しいキリスト教だと思う思い込む
    • 最初に出会った教会群から違うかな、と思っても離れられない
    • 牧師の言っていることに疑問があっても、自分はよく知らないと思うので意見ができない
    • カルト化した教会では、牧師が聖書から言及していると言っていることと聖書が言っていることが区別できない
    • 教会内に長期間いる人の支配がある(年功序列やが当然である)
    • 日本のキリスト教会と帝國陸軍の類似性で触れた)先任主義が支配している
    • 変えたくてもなかなか変わらない教会文化が厳然と存在する
    ・・・・
    という不幸ではないだろうか。

     これを不幸というか、悲喜こもごもというかは別として、後発である組織に加入した人は、その組織にいる期間が短いためにどうしても情報の不足気味であり、前からいる人に「この教会ではかくかくしかじかである」といわれると、「そんなものか」と思って黙ってしまうのではないだろうか。それを、「なぜなのだ?」「どうしてなのだ?」「どうしてそんなことを言うのだ?」と子供や、バカボン・パパのように質問したりする人は少ないと思う。しかし、旧約聖書は、過ぎ越しの祭りに関して、それを質問させ、そしてそれを子供たちにこたえてやれ、その理由はかくかくしかじかであると、ときちんと説明せよと言っているように思う。


    こちらのダイハツムーブのCFキャラのように説明しろということではないですが…

     そして、「王様は裸だ」といった裸の王様に出てくる子供のように「教会にはわからないことがある」と正面切って言い放つ人は少ないだろうと思う。個人的には、教会とは何であるのか、ということに関する教会についてのメタ思考につながると思っていて、大事だと思うけど。

    認識の非対称性
     では、「認識の非対称性」とは何か?ということに触れてみたい。これは、あまり言われてないことかもしれないので、少し触れておくと、教会の内部と外部で同じ事象に対する認識が両者の間で同じでないということことなのだ。芸術や、マンガを用いながら、ISOの通信における階層モデルで説明している記事があった。

     実際に即して平たく言うと、情報の発信者や行為の主体としての教会と情報の受信者(受容者)や行為を見ている側の主体としての社会の一般の人々との間に、教会が言ったり、教会で行われたりしていることの個別行為に関する認識や受け取られ方や意味が異なった文脈としてとらえられたり、その後が独り歩きしてしまい、世俗社会と教会の中で、その意味が異なってしまっている、という現実と指摘することができよう。

     いわゆる小説『羅生門』の世界であり、He said, She saidの状況が生まれている状態である。以下の動画は、B級コメディであるが、認知の違いがこれほどまでに生まれるのか、を映画的表現手法で、示したものである。



    He said, she said situationを描いた映画 「He said, She said」

     ものすごく単純化して言うと、両者の間で誤解が生じている、ということでしかない。これをうまく2本の映画作品で映画化してみようとしたのが、Flags of Our FathersLetters from Iwo Jimaである。とはいえ、監督のクリント・イーストウッドはアメリカ人であり、完全に中立性は保証されていない、ということは認識しておくべきであろう。


    父親たちの星条旗 米国本土と戦場での認識の壁を描いた作品にもなっている


    硫黄島からの手紙 これも、一種日本本土と戦場での認識の壁を描いた作品でもある

     この連載の次回では、「認識の非対称性」をもとに、教会のカベを下げる試みとその課題について、少し例をとりながら、書いてみたい。





    評価:
    八木谷 涼子
    キリスト新聞社
    ¥ 1,620
    (2013-11-22)
    コメント:お勧めしています。

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