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2014.09.13 Saturday

続 教会学校におちいさい皆さんが減った理由(人間関係編) その2

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     前回の記載は、ソーシャル・キャピタル、ソーシャル・ネットワーク、人間ネットワークの説明と、それが人間にどう影響するのか、その中でのネットワークを構成するノードとなる人物とネットワークの全体、一部との関係を述べた。前回の記事は、こちら。

    続 教会学校におちいさい皆さんが減った理由(人間関係編) その1


     新約聖書を人間ネットワーク理論から見ると
     ところで、以下のリンクで紹介するアルバート・ラズロ・バラバシ(2002)「新ネットワーク思考」の本の第1章に出てくるが、(英文なら当該個所がここからアクセスして、 Introduction のセクション(左側のFirst Pages)を読むと、ご覧になれる)パウロは、キリストを宣教するにあたって、影響力の大きい人々がいるところであるユダヤ会堂に出て行って、そこでの 影響力を持つ人々(たとえば、ルデヤとか、アクラとプリスキラといったギリシア世界の地域のユダヤ教社会におけるかなりヘビーウェイトなノード)が存在する空間(すなわちユダヤの会堂)でイエスがキリストであると宣言した、と同書では指摘している。

     そこらの街角で、出たとこ勝負でパウロは路傍伝道をしていたわけでないことは思い起こしてもいいかもしれない。あるいは、当時の学問的専門家であり、ギリシア世界におけるかなりヘビーウェイトな人物たち(ノード)が集まっているアテネのアレオパゴスで語ったのであるし、あるいは、ほかの使徒たちも、神殿においてイエスをユダヤ社会に影響力をもつ人々(ノード)を中心に宣べ伝えたためにユダヤ社会との軋轢を起こしていたのではないだろうか。


    Sermon of St. Paul in Athens by Raffaello Santi (1483 - 1520)


    キリシタン時代の人間ネットワークから見た
    布教と伴天連追放令

     大河ドラマで、官兵衛と称する番組をしていて、秀吉のバテレン追放令がでているので、キリシタン時代の人間ネットワークをこのネットワーク理論をもとに考えてみたい。

     最初にパーデレ、カトリック司祭が日本に到着したころ、社会的弱者やハンセン氏病を含む病者への伝道・救援を中心としてコンフラリア・ミゼリコルディアの精神で、対応していたことが分かる。 そのことの動画が、危機の時代におけるキリスト教の霊性のありかたと題して、英栄一郎司祭によって2011年7月に行われている動画がこちらでご覧いただける。

    http://ricc.holyring.jp/?proc=japaneseslash2011sslash20110727_pm

    ところで、当初、このような社会的に影響力の強くない、社会的弱者、病者、孤児を中心に奉仕することで伝道していたものの、その悪影響として、これらの信仰は弱者の信仰であるから、何らかの対応を取らねばならぬ、ということで、大名クラスへの伝道へと方針転換したことを大河ドラマのキリスト教監修(竜馬伝と官兵衛は直接講義中「監修した」との言及があった)を多数しておられる上智大学の川村先生は、最近の公開講座でご指摘であった。そのリンクは以下の二つ。

    上智大学大阪サテライトキャンパス公開講座参加記 戦国期と近代のカトリックと社会 川村信三教授 その1


    上智大学大阪サテライトキャンパス公開講座参加記 戦国期と近代のカトリックと社会 川村信三教授 その2




    上智大学100年のポスター(小学生の社会科の時の人気者、ザビエル君)

    伴天連追放令
     大名クラスに伝道の主眼がきりかえられ、殿がキリシタンになられるのであれば、我等も、とその配下の家臣団が入信し、そして、家臣団以外の地域住民も、ワシらの殿さまがキリシタンなら…と陸続と入信した模様である。

     だからこそ、その影響が大きくなり、自分自身の国家建設、豊臣家による統治の障害となりかねないため、秀吉君は伴天連追放令をだしたのだろう。一応、バテレン追放令とそのローラ語訳を記載しておく。

    -----------------------------------------------------

    一、日本ハ神國たる処きりしたん國より邪法を授候儀 太以不可然候事


     日本は神国なので〜、キリシタン国より変な魔法みたいなものをもらってくることは、むちゃくちゃありえないことと考えてね〜。おっけ〜?


     一、其國郡之者を近付門徒になし 神社佛閣を打破之由 前代未聞候 國郡在所知行等給人に被下候儀は當座之事候。天下よりの御法度を相守、諸事可得其意処 下々として猥義曲事事


     地域の人々を呼びあつめて信者にさせて、神社や仏閣をぶっ壊した破壊工作があったことは前代未聞だよ〜。大名小名といった国や郡などの知行地を任されているサラリーマン社長の皆さんに管理をさせているのは、しばらくの間のことだからさ〜、天皇陛下や関白家から出る命令を守って、その意をくんで適当にうまくやってね。おっけー?普通のいろんなお仕事している皆さんも、変なことはしないようにさせようね。わかったー?


     一、伴天聯其知恵之法を以 心さし次第に檀那を持候と被思召候へは 如右日域之佛法を相破事曲事候条 伴天聯儀日本之地ニハおかされ間敷候間 今日より廿日之間に用意仕可帰國候 其中に下々伴天聯に不謂族申懸もの在之ハ 曲事たるへき事


     バテレンさんたちはさぁ〜、頭がいい方法を使って、心を操って、だんだん、パトロンのおとーさんをもつんじゃないかと思うんだけど〜、これはさっき書いたみたいに、地域の仏教をとんでもなくすることなので、気をつけてね〜。しちゃーだめだよ〜。あと〜、バテレンさん達が日本には〜、いることはできなくなっちゃんたんで〜、今日から20日以内に強制退去させるから〜、その用意をさせるからね。わかった〜?その間に、バテレンに普通の人たちが変なことをしてしまったら、それは、ダメだからねー。おっけ〜?


    一、黒船之儀ハ 商買之事候間格別候之条 年月を經諸事賣買いたすへき事


     黒船さんたちは、ビジネスだから、特別だからね〜。これからもずーっといろんなビジネスやってね〜。よろしく〜。


    一、自今以後佛法のさまたけを不成輩ハ 商人之儀は不及申、いつれにてもきりしたん國より往還くるしからす候条 可成其意事


      これから〜、お寺のことを邪魔しない人たちだったり、商人である人たちはもちろんオッケ〜だからね〜。どんなキリシタンの国からきても、行ったり帰ったり、どんどん外国に行ったり、外国から来たりしても全然「オッケ〜」だからね〜。なるだけみんな頑張ろうね〜。


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    ということで、まぁ、國郡在所知行等給人に被下候儀は當座之事候。つまり、「一時的に領国領地を代理で、支配している領主が、勝手をしてはならん」ってことだったらしい。

     川村先生のご講演を思い出すと、当初、社会的弱者を中心に伝道が模索されたものの、その副次効果もあり、次第に、当時の社会において、影響力の大きい大名クラスに伝道が進めていかれたようである。そして、日本全国に広がっていき、その挙句の果てに、上記で紹介した英 隆一郎司祭の動画によれば、当時の人口の10分の1から5分の1位の人口比を占める20万人ほどキリシタンがいたことがイエズス会の記録で分かっている(らしい)(補記 なお、この当時の日本全国の人口はおそらく1000万人代後半から2000万人程度と考えられるので、100分の1から50分の1くらいの方が適切かもしれない。こうなるとあまり現在と変わらない。まぁ、当時キリシタンは日本全国にまんべんなく存在していたわけではなく、九州地方、西国を中心とした地域に集中していた模様。東北や北関東地方にもキリシタン集団があったことはほぼ確実であるが、割と人口が多い地域は痕跡がかなり消されているので追っかけるのが大変であるようである)。

     このことは、記録マニアでもあった、ローマ教皇庁の記録でも跡付けられるらしく、日本国内を40人の司祭で回していることをお話になっておられる。つまり、当時は、50000人に司祭一人という状況だったらしい。

    川村先生の講演内容を
    ソーシャル・ネットワーク理論で考えた
     つまり、当初は、病気や貧しさ、親族などの支援ネットワークのなさから、社会的ネットワークにおけるリンク数の小さな社会の影響度の弱いソーシャル・ネットワークのノード(個人)を中心に伝道していたのだが、それがそのまま広がった場合、一定の社会の影響度の弱いノードの集団という印象がついてしまうため、下剋上、戦の連続という悲惨な影の漂う社会風潮の中で、既存宗教集団の比叡山形や門徒衆系の人々との対立などに辟易としていた社会の影響度の大きいノード(個人)である大名クラスへの伝道という形が取られて行き、そして、それが、大名クラスでの影響力の大きいノード(個人)である、大友家(当時の九州の名家の一つで、島津家と対抗するくらいの勢力はあった)や高山家などがキリシタン化していく中で、一気に大名家ネットワークに広がり、そして、家老クラスの名家ネットワークに広がり、また、領民クラスにまでキリシタンが広まっていく、という形を取ったと考え得よう。

     しかし、このタイプの伝道方法は、影響力が大きいノードが変身することで、その影響の深いノードも次々と変身する、オセロのような現象が起きる点であり、聖書で言うと、岩地にまかれたために根が生えないような状況ではあろう。なかなかド根性ダイコンは育ちにくいのである。なお、川村先生によれば、ド根性大根のような隠れキリシタンの皆さんは、まったく別のソーシャル・ネットワークの論理(こんふらりあ・みぜりこるぢあ:慈悲の組)により維持されたらしい。


    ど根性大根

    子供のソーシャル・キャピタル形成の場所
     本来の話に戻そう。ちなみに、1960年代までは、子供の『ソーシャル・キャピタル』が育成される場は、学校の教育実施中においては、公教育の場である小学校、中学校の学級であり、そこは、学校教諭が監督する社会が形成されていたと思われるし、放課後は、公園そのものが都市部において少なく、下水道管などのコンクリート管が建築途上の空き地や開発地やお寺や神社、教会などの境内地(それがあればであるが。所謂ニュータウンでは、それら宗教関連施設がないことの方が普通であり、新興住宅地では、宗教空間から空間的にも切り離されている。これで無縁社会とならないほうが不思議)が子供たちの交流の場になっていたし、小学校の校庭などが交流の場となり、そこで、子供たちが『ソーシャル・キャピタル』が育成されていくことになる。

     要するに、当時の子供たちのたまり場は、これらの場所であったし、雨の時は、 お互いの自宅などや、神社の境内等が利用されたであろうし、娯楽の少なかった1960年代中葉までは、一部教会などが提供する教会学校や日曜学校などが子供たちの紐帯を外形的構造物で支えてきた、と考えられるであろう。これらの境内地や公園、空き地は『ソーシャル・キャピタル』の醸成の場であった。これらの公園、寺社、教会の境内地が持つ、公共財的性質(利用の非排除性、そのサービスへのアクセスがあまねく渡るという意味で非競合性がある、という意味で)あるいは、地方公共剤、クラブ財的性質が、これらの寺社地やオープンスペースが子供社会における公共圏を形成させる場、となることもあったであろう。

     次回へと続く


    コメント
    >当時の人口の10分の1から5分の1位の人口比を占める20万人

     (ー'`ー;)う〜ん・・・・

     分母がおかしいです。

     総人口が100満から200満ですか?
     アノ当時の推計は 一千万強(から1.6千万)

     戦乱が収まるにつれ、急速に新田開発などが行なわれ、江戸中期までに三千万まで増加。
     この三千万が、この辺境にある国土だけで養える基本人口です。(太陽から受けるエネルギーの固定効率を著しく変動させない限り、ただその場合の熱収支が永続的に安定可能かは別問題)
    • ひかる
    • 2014.09.16 Tuesday 03:52
    ひかる様

    確かに、1/5というのは明らかに言い過ぎですが、

    >上記で紹介した英 隆一郎司祭の動画によれば、

    とあるように、その講演の中では、そのようにおっしゃっておるのでそれをそのままとりました。

    まぁ、どこまでを日本の領土とするのか、という問題もありますけど。

    ご指摘の通り、再生可能エネルギー、人糞などからつくられる肥料を含めて、時に基金を経験しつつも、日本で人間が生活できる最大人数は3000万人というのは、妥当な数値だと思います。

    世に江戸時代を理想化される方もおられますが、あなた方は、そういう悲惨を含めて、理想化するのか、と言いたくなることが時にございます。

    しかし、明治期を含め、日本が移民政策にこだわったり、植民地をほしがった背景には、このあたりの人口動学的な原因があったことはあまり言われないですよね。残念ですが。

    コメント、ありがとうございました。
    • ミーちゃんはーちゃん AKA かわむかい
    • 2014.09.16 Tuesday 07:12
    >その講演の中では、そのようにおっしゃっておるのでそれをそのままとりました。

     いえね、このブログが社会的にそれほど大きな影響力があるとは思いませんが、一定程度以上に信頼が置けるブログと見られているとは思います。
     その中で二次情報とは言え、余りにも異常な数値をコメントなしで挿入されては、また一人歩きしないとも限りませんので・・・コメントはなさるのが良策かと・・・

     実際ウィキなどは十中八九過誤情報だと有る調査では指摘されていましたが、その影響力は絶大で、結構孫引きによる過誤の伝播が見られます。
    • ひかる
    • 2014.09.16 Tuesday 15:30
    ひかる様

    コメントありがとうございました。

    確かに、吹けば飛ぶような弱小ブログなんですが、一応補足情報という形で入れときました。ご指摘、コメント感謝。

    それではまた。
    • ミーちゃんはーちゃん AKA かわむかい
    • 2014.09.17 Wednesday 08:33
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