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2014.07.24 Thursday

日ユ同祖論というトンデモ理論について その2

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      前回の記事「日ユ同祖論というトンデモ理論について その1」では、日ユ同祖論が意外と古い見解であること、それが旧約聖書のバベルの塔理解から出ていたり、ユダヤ人のバビロン捕囚を根拠にしながら、ユダヤ人の失われた支族の一つであるという議論があり、東方見聞録で日本が知られるようになって、そして、大航海時代へと、そして、それが日本へのロマンを巻き起こし、そして、南蛮人への日本の渡来へとつながったり、インドへの西回り航路開発につながっていたことと、そして、類似性に基づく同一認定の論理のようなものが展開され、そうかな、と思わされるけど、実はそうではないかも、というミーちゃんはーちゃんの考え等を示した。

     何の気なしに書いて投げたら、水谷先生にご紹介されるなど一部の皆様に受けたようで、2日で100いいね 越え。皆さんご関心が高そうなので、本来土曜日公開予定だったのですが、本日緊急公開と致します。次回は土曜日を予定。


    明治以降のキリスト教会における「日ユ同祖論」
     明治以降のキリスト教界の指導者で、この日ユ同祖論という「麻疹」にかかった人は少なくないし、現在も麻疹の流行のように、いったん終息したと思ったら終息せずに、社会の片隅に潜伏していて、時に息を吹き返し、オフィシャルな場にこの理論は、顔を出す。中には、この「日ユ同祖論」という「麻疹」をこじらせ、重症化したままの方や重症化しつつある方も現在でもおられる。

    明治期の「日ユ同祖論」が
    受けたわけ

     明治期のキリスト教界に、これを持ち込んだのは、MacLeod(マックレオドと一般に言うらしい)という宣教師であり、このマックレオドは、オランダ人ケルペルの所説の影響を受けていると井上先生の「日本人とキリスト教」(下記リンク参照)で指摘しておられる。おそらく、宣教師からこの説が伝えられたことで、海外から持ち込まれたキリスト教理解の一部として、この日ユ同祖論を受け入れたのと、当時の西洋列強に比肩したいという思いがこの日ユ同祖論が普及していく素地になる。これらのことが、かなり丁寧に、井上先生の本と内田先生の本で詳しく書かれている。

     おそらく、この理論が日本人キリスト者に受けるわけの一つは、この理解が日本の内在的なものから出たのではなく、マックレオドという宣教師(そのソースとなったケルペルというオランダ人)やそれ以前の西ヨーロッパで流行した理解から出ており、聖書理解の一環として、日本とユダヤが近いということで親近感が醸成されるから、あるいは一部のイスラエル人(イスラエル国の関係者、ヘブライ人の代表選手や大半のイスラエル人がそうだ、というわけではない)から好意的に受け止められている、ということだと思うのだ。好意的に受け止められている背景には国際的に孤立しやすい行動を取る某国の国益が隠れているかもしれないけどね。あんまり言ったらいかんとは思うけど。テッド・ハガード(アメリカの失墜したテレビ伝道師の一人。Jesus Campにも登場中。詳しくは、下記のリーダーシップのダークサイド参照)なんかをなんか中近東にある某国が抱きこんだのと同じじゃんか。

     ところで、明治期以降の日本のキリスト教界にこの日ユ同祖論が流行した背景の概要は、内田先生の「私家版・ユダヤ文化論」にある程度詳しく述べられている。中田重治先生のことや他の人々のことが出てくる。一番びっくりしたのは、酒井勝軍という人物である。この人物は、どうもムーディ聖書学校の出身で、伝道者というか牧師であった人物らしい。この人たちがなぜ、日ユ同祖論に走ったのかの背景は、その3で記すことにする。

    酒井勝軍というキリスト者
     ところで、この酒井勝軍という人物の名前をミーちゃんはーちゃんが初めて知ったのは、オウム真理教との関係である。オウム真理教は、東北でヒヒイロカネを探索しているその背景になったのが、この酒井勝軍の影響であるらしいことを、オウム真理教だったか、カルトの特集かなんかの別冊宝島の記事で知った。なんか、学研(その昔、ミーちゃんはーちゃんは、科学と学習という学習雑誌の科学にお世話になった)という出版社が出しているオカルト雑誌ムーに、オウム真理教(当時)の麻原尊師(こと、松本智津男)さんは寄稿しているらしい。証拠はこちら。

     最近になるまで、ミーちゃんはーちゃんは、この人酒井さんというご仁は、竹内文書と一緒に出てくるので、てっきり神道系の人かと思っていたのですが、この方、キリスト者だったって、今月知った。 

    オウム真理教とキリスト教
     しかし、オウム真理教の麻原彰晃氏はある段階から、キリストを自称し始める。そして、血のイニシエーションとか言い始める。最初のオウム真理教は、ヨガという身体性をもった一種の思想としてあくまで、「自分たちはチベット仏教の後継なのだ」とか、「ダライラマとの関係が深いのだ」と言っていたようなのだが、いつのころからか、多様な宗教を取り込み、宗教の曼荼羅状態とういのか、多様な宗教間がちりばめられた合体ロボとでもいうべきか、ヒンドゥ、キリスト教等、割と大きな宗教グループの思想と世界観、儀式をかなり自由に(悪く言えば、無節操に)取り込むようになって、その教義を大きく変質させていく。

     ミーちゃんはーちゃんは、過去から現在まで、まじめなオウム真理教ウォッチャーではなかったし、研究者でもなかったので、いつごろから、そしてどのような背景でオウム真理教が血のイニシエーション(おそらく聖餐式のパロディ)といいだしたのか、麻原彰晃キリスト説(事実これは主張していたと記憶する。たぶん衆院選に落ちて、武装化に向かうあたりから。)を言い出したのか正確に分からないが、ひょっとして、この酒井勝軍のヒヒイロカネ伝説に取りつかれて、一応日ユ同祖論的な理解の影響をもち、自らの優越性の担保として何でもいいから世界宗教との融合をはかったのではないか、とも思う。そして、聖書まで自分たちの教義に取り込もうとしたのだろうと思う。

     あるいは、オウム真理教のロシア進出とも関連があるかもしれない。この辺りは、宗教学、近代史からのキメイラ的存在であるオウム真理教についての総合的検証は必要ではないかと思う。どうも、教祖様にまともなインタビューすることは現在では不可能になっているが、当時書かれた物や語られたことを総合的に分析するくらいのことをする研究がないと、あのキメイラ的存在を生み出した国としてはまずいのではないかと思ってはいる。何に、どのように触れ、どういう経緯で、キリスト教すら彼らの教義に取り込もうとしたのか、という問題は宗教学、ないしは宗教社会学の問題としては、面白いとは思うのだけど、

     さすがに、イスラムとの同化は避けるくらいの知恵というのか、そこらの感覚はオウム真理教の皆様にもあったようではあるが。そんなことしたら、ねぇ、狙われちゃいますし。


    全く関係ないけどナウシカ様とオーム(安静状態)



    現代日本へとつながる日ユ同祖論

     こう考えると、日ユ同祖論は明治大正期に流行した奇説ではなく、近代にいたってもなお、オウム真理教の皆様のみならず、ムーの愛読者で陰謀史観大好きな皆様のみならず、キリスト教界の中の一部にひそやかにこの奇説を真実と理解しておられる方もおられるし、いつまでもなくなりはしないだろう。しかし、安易にそれに踊らされてはならんと思うのだ。この奇説、根絶する気もないし、する意味すらないと思うのだが。言い過ぎかも知らんけど。

     次回以降、なぜ、この奇説が斯くも明治期の指導的役割とも言うべき日本のキリスト教徒をひきつけ、引き付け続けてきたのか、というそのあたりの背景を述べていこう。まぁ、内田先生の本で大体分かるんだけど。内田先生の記事の補論を次回と次次回で述べてみたい。
     


     
     

    評価:
    井上 章一
    角川学芸出版
    ¥ 907
    (2013-10-25)
    コメント:日本人におけるキリスト教理解がどう作られてきたのか、の日本文化論による丁寧な入門書。

    評価:
    価格: ¥810
    ショップ: 楽天ブックス
    コメント:ユダヤ人という存在と日本人のかかわりの大学での講義の講義ノートの拡大版。明治期以降の日ユ同祖論の展開はこちらの方が詳しい。

    評価:
    ゲーリー・L・マッキントッシュ,サミュエル・D・ライマ
    ¥ 2,052
    (2013-06-06)
    コメント:よいよ。男性信徒は読んでおいたほうがいいかもね。特に召命で悩んでいる人にはお勧め。女性もだけど。。もちろん。

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