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2014.07.09 Wednesday

上智大学大阪サテライトキャンパス 2014年度春季公開講座 宮本久雄さん イエスの譬え 参加記 後半

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     前回の続きです。上智大学大阪サテライトキャンパス 2014年度春季公開講座 イエスの譬えと題された、宮本久雄さんの公開講座に参加してきた記録をのせようか、と、その時の記録を公開しようとおもいます。かと。前回と今回の2回に分けたので、全体としては、ちと短め(といっても、普通の方のブログ記事よりは長いよ)今回はやや短めかと思います。

    前回お読みでない方はこちらから

     上智大学大阪サテライトキャンパス 2014年度春季公開講座 宮本久雄氏 イエスの譬え 参加記 前半

    二重句という構造
     二重句という当時の文学作品の特徴がある。二重の話であり、重ねて書いておく。ここでは、祭司、レビ人が通り過ぎていく、という部分が二重句の構造になっている。

     ところで、エルサレムの神殿で祭儀に当たる祭司はエリコに実際に住んでいたケースが多い。イエルサレムでの祭儀の当番が決まっていて、1年の登板スケジュールが決まっていた。

     二重句で説明したように、祭司とレビ人が下ってきて、道の反対側を通って行った、という構造が同じ構造になっている。

    祭司とイエス
     必ず、イエスが説教しているときにパリサイ人や祭司たちの手のものが、説教を聞いている。スパイされている状況の中で、イエスは語っている。そのことへの意識もあったのであろう。

     このたとえ話の中で、祭司はユダヤ人を助けなかったが、これについての解釈は2つあって、息があれば何らか救わないといけない。という律法と、死人に触ると汚れる、という律法の間でどうするかの決断を祭司や律法学者が迫られる形になっている。

    ガリラヤ、サマリア、ユダヤ
     イエスが活躍したガリラヤは、異邦のガリラヤと呼ばれるほど、ユダヤの正統的な世界からはやや遠い存在であった。同じユダヤ教の中でも、預言者の書書を認める人々が多かったようである。また、サマリアの宗教は、ユダヤの宗教とよく似たものでありながら、別種のもので、経典はトーラー(モーセ5書)、預言書は認めないという点ではユダヤ教と共通であるが、ゲリジム山のてっぺんに神殿があるのが、サマリア教であった。そして、現代にもサマリア教は残ってい る。

    第2神殿期ユダヤの終末思想と汚れ
     当時のユダヤ人には、終末思想としてのメシアの到来を待望する雰囲気があり、サマリア人から施しを受けると汚れると同時に他の汚れの発生と同 様に、メシアの到来が遅れると信じてたようである。ところで、このものがたりの旅人のサマリア人もサマリア純血の人々からするとちょっと外れた人ではない だろうか。


    サマリア人の憐れみについて
     彼が、「憐れに思い」と書いてある語は、「スプラングノム」という語であり、母親が理屈抜きで赤ん坊に愛情を注ぐことを示している。このことが、すぐ行動に結びつくような他者との共生に結びつくような生き方へとつながっていく。このあわれみのこころから、サマリア人は直に行動に移っているのだろう。普通はこういう何らかの負債を持つ人物は奴隷に売られてしまう状況なのである。ところが、サマリア人の憐れみは限りがない憐れみであり、ずーっと続いていくような、憐れみを示しているのだ。

     この話をしたうえで、隣人の定義を律法学者に求めている。ところで、隣人になる、という語について考えてみたい。「なる」という話である。隣人に「なる」ということは、無限の可能性をもっているごではないだろうか。自分の世界の枠組みを超えて、生きるということではないか。この隣人に「なる」という言葉で示された、自分の世界の枠組みを超えて動く姿勢を示されたのが、イエスだ、ということをよく表すたとえ話となっている。ユダヤ人、祭司、レビ人と続いて、その後にサマリア人を出してきたのは異化作用となっており、そこでハッとさせられる、あるいはギョッとさせられるものがユダヤ人にはあったはずである。



    GoodSamaritan2DT
    David Teniers the younger による「善きサマリア人」

    ユダヤ人がサマリア人に介抱されるということ
     ユダヤ人で筋金入りの人物で半殺しの目に遭った人にとってみれば、サマリア人から介抱、ケアされることはユダヤ人として汚れる、汚れを受ける、ということであったのである。その意味で、ユダヤ人にとって罪を犯すことでもあったのだ。元気であれば、サマリア人が近づいた時に拒否するだろう状況だったのである。

     しかし、このファイティングスピリットに満ちていたユダヤ人が、なぜ、サマリア人を受け入れたのだろうか。ほっといてくれ、と拒否することもできたかもしれないのに。その際参考になるのが、先にふれた、二重句構造である、祭司やレビ人から見捨てられた、というダブルでショッキングであったところに、異化作用として、サマリア人が出てくる。ある意味で、この半殺しの目に遭ったユダヤ人は、自らが誇りとするユダヤ人の中でも、尊敬する、そして尊敬すべきシンボル的な存在に捨てられたという経験でもあるのだろう。その意味で、ユダヤ人としてのアイデンティティがしぼんでいったのではないだろうか。その意味で、プライドが奪われた存在とな り、本当の傷ついた人になったのではないか。(なんかナウエンの傷ついた癒し人を思い出した)

    受け入れるということの意味 枠を超えること
     受け入れるとは、どういうことだろうか。受け入れるということは、敵だった人と隣人になる、ということであり、所謂、かわいそうだから、と上から見るような視点に立って、助ける話ではないだろう。両方の立場を超えて、隣人になっていく話であろう。その意味で、いわゆる抽象的な博愛の話ではない。イエスの譬え話はまったく新しい 世界、枠を超えたところへのメッセージとなっているのではないか。

     ところで、従来の枠組みを突破していかざるを得ない世界の状況が現在もあるのではないか。ここで、宮本先生のおじさまの墓参の話しになり、シンガポール への墓参の時の話となった。日本ではあまり知られていないことであるが、シンガポールの歴史教科書は、第2次世界大戦時の記載に関して、非常に反日的な記載(韓国や中国の歴史教科書以上の記載)がある。しかし、墓参の案内人の方との間との対話を通して、隣人になるということを改めて考えさせられた。

     世界では、相互に対立している問題があり、一人一人は実に無力な存在ではあるが、個人として、相互に対立している問題について、どう考えたらいいのか、ということを考えたほうがよいかもしれない。

    ミーちゃんはーちゃん的感想
     以前、日曜学校の教師をしていたこともあるが、そこでの教案書は、「友達に親切にしましょう」とか「困った人は助けてあげましょう」的な解説で満ち溢れていたような気がする。最近の教案書は違うのかもしれないが。しかし、この「善きサマリア人」の譬え話は、そんなギリシア的なヒューマニスト風の甘っちょろい話ではさらさらなく、もっと壮絶な信仰者とは何か、という問いについての譬え話であり、信仰者としての確信をどう乗り越えていくのか問題を含んだものであることが相当部分の示し頂いた様に思う。まぁ、子供の理解力があるとはいえ、やはりこの辺りのことは日曜学校教師は踏まえておく方がよいであろう、とは思った。 まぁ、ギリシア的ヒューマニスト風の甘っちょろいお話を日曜学校でしたらいかん、とは言わんけど。

     現在もなおパートタイムではあるが、教会の講壇に立つ者として、当時の第2神殿期ユダヤの背景の上で、イエスの言動を理解しなければならないという観点からも、この講座は、非常に参考になったし、実に有益であったと思う。

     ということで、雨宮先生のご講義に続き、まぁ集団的自衛権の話題など、香ばしい話題が続いている状況下であったためか、このような緊張関係の中で、信仰者として個々人がどう考えるのか、どう生きるのか、を問われたような気がした。充実のご講演であった。

     このあたりのことを考える際には、おそらく、下記で紹介するジョン・H・ヨーダーの神学とブルッグマンの預言者の想像力とが参考になるだろう。また、雑誌「福音と世界」2014年7月号の宮本先生の論文を読まれることをご推奨する。



     
    評価:
    価格: ¥2,052
    ショップ: 楽天ブックス
    コメント:悪の問題とキリスト者が対峙する上で読んでおいたほうがよいと思う。補助線を与えてくれるだろう。

    評価:
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    日本キリスト教書販売
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    (2014-06-19)
    コメント:いやぁ、この7月号、6月号の特集はすごく良い。

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