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2008.10.04 Saturday

ナウエンの本の不思議さとキリスト者勝利主義への疑問

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    今、ナウエンの本を読みながら、考えている。


     


     なぜ、ナウエンの本を読むと、どっと疲れが出る感じがすると同時に、癒される感じがするのか。彼の人格に包まれているような感覚になるのか。不思議な感覚を与える著者である。


     


     ロイド・ジョンズも読んだ、C.S.ルイスもあらかた読んだ。レオン・モリスは好きだ。FFブルースの使徒行伝、ヘブル書、ローマ書の講解は本当にすごい、と思う。パッカーも大好きだ。マクグラスもその思想史的な体系が面白い。でも、ナウエンの本のように人格と触れ合う気がしない。どちらかというと、対決している感じがする。しかし、このナウエンの本を読んだときの人格と触れ合うような感覚、って一種独自のものがある。


     


     ナウエンとの違いを、家内と話しながら考えた。ロイド・ジョンズ、C.S.ルイス、パッカー、レオン・モリス、ライル、ブルース、マクグラス。彼らの主張に納得できないところも時にはあるが、その主張はおおむね正しい。共感できる。理解できる。その論理構成のあり方は妥当だと思う。頭脳には楽しい本ではあり、聖書知識や聖書の理解を深めてくれる。自分が聖書を読む際に抑えるべきポイントを示してくれる。理解を深めるのに有益であるし、自分が気付かなかったことを、知らなかったことを示してくれるという意味では、これほどありがたい著者たちはいない。


     


     ナウエンは、それとは違うものを持っている。明らかにそれを感じる。ロイド・ジョンズにしても、C.S.ルイスにしても、パッカーにしても、その他の著者にしても、聖書理解を研ぎ澄まさせてはくれる。これは重要。でも、ちょっと対決している感じ。教わっている感じ。教室で対峙している感覚。


    ナウエンの本は、横長の席に座って、隣に座ってざっくりとした話をしている感じ。対決感がない。これが最大の違いかもしれない。


     


     この中にあるのは、自分自身の信仰が、どこか勝利主義という観点がおかしいぞ、ということを感じ取っている、からかもしれない。多分、私がsecond generation(第2世代)のキリスト教徒であるからかもしれない。第1世代のキリスト者は、家族の反対を押し切り、社会全体の人間関係と対決しながら、信仰を守ってきた部分がある。まさしく、戦い、勝ち取ってきた信仰である。その経緯で作り上げられていった感性からすれば、


     


    『信仰は勝利、信仰は勝利』(聖歌の光の高地に)なんてことになるのかもしれないし、


    あるいは、


    『われらは常に勝利、勝利』なんてことにもなるのかも。


     


     この辺の勝利主義的な信仰って、どこか歪んでいるようなちょっとした気持ち悪さが最近の私にはあったりする。


     


     時々、宣教大会やキリスト教徒の集りなどで、『決起集会』とか書いてあるのを見ると、動労とか、国労が元気だったころの在りし日の姿を遠く思い出すとともに、この感覚、何とかならないかなぁ、と思ったりする。


     


     イエスの救いは、悪魔に対しての勝利や『死のとげ』に対しての勝利かもしれないが、人間の誰か、に対して勝利するものではない。ましてや、他の人々への優越感を与えるようなものではあってはならないと思ったりしている。


     


     ナウエンは、そこをきちんと示しているところ、それも頭ごなしにではなく、それを示しているところが気に入っている。


    コメント
     「どっと疲れが出る感じがすると同時に、癒される感じがするのか」  まだ一冊の途中までですが、同感です。疲れるとともに、いやされるんですねぇ。
    • Focea
    • 2008.10.04 Saturday 14:02
    そうなんです。ナウエンの本は、うちの奥さんに言わせると、自分の信仰を暖かくやわらかくマッサージをするような感じで、軌道修正してくれる、という側面があるそうです。 私は、自分自身の心をこの本で探ることとが自分の信仰生活のずれの結果生じている伊丹を直すこととなるために、疲れ、その結果癒されるのだろうと思います。温泉やマッサージがそうであるように。 -----
    • 芦屋めぐみ
    • 2008.10.05 Sunday 08:11
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