<< 教会が牧会者のミニ王国となりやすい理由(1) | main | 教会が牧会者のミニ王国となりやすい理由(3)完結 >>
2013.04.06 Saturday

教会が牧会者のミニ王国となりやすい理由(2)

0
     さて、前回の連載記事では、メディアとしての説教の持つ特性から、講壇で語る牧会者という構造のゆえに、教会が牧会者のミニ王国化しやすいりやすい理由を考えたわけですが、今回は情報の非対称性という観点からゲーム理論を使った知的スポーツ(遊び)として考えてみようかと。繰り返しになりますが、これは遊び、スポーツですから。学術的な成熟を考えたい方は、どうぞご自由におやりになっていただいて、論文を書いてご公表していただけたらうれしいなぁ、と思います。

    情報の非対称性
     情報の非対称性は、ゲーム理論の初歩的な本でも出てくるのでそれを参考にしてほしいのだけども、ごくごく単純化していうと、情報をもっている側と持っていない側との間で交渉力(その結果それぞれに配分される利得・利益・うれしさ最終的に導かれる状態)に差が出てくるという現象を扱う総称、と荒っぽく言ってもよいのではなかろーか。つまり、知っている側は、知らない側に対して交渉などのゲーム(集団の場合だと政治的な発言力に関して)有利な立場に立ちうる、ということ、とゆーふーに思うのだなぁ。

    アメリカでの司法取引での事例
     典型的には、アメリカの刑事の取り調べなどで用いられる手法である。先に自白したほうが、刑が軽くなるという有利な条件を提示し、複数の被疑者を分離して取り調べして、情報交換(シグナリングともいう)の分断から、あいてはもうすぐ自白しそうだ、と刑事が被疑者により有利な条件(刑期を短くする)にしてやるから、とたたみかけて、自白を得るなんてことに使われている。実際にこのテクニックが利用されている模様。

    中古車販売の事例
     あるいは中古車販売(レモン(米語で、不良品の中古車の言い方)販売)のケースがよく事例として用いらておるようである。中古自動車を売ろうとする売り手は、その自動車の不具合や事故歴をある程度知っているが、買い手は、そのことを外見情報から知りうることができない、また、不良中古はを高い値段で買わされるということなどが起きる。アメリカでは、中古車屋は天国に一番いけそうにない職業の一つ、となっているらしい。すべての中古車屋が不誠実だとは言えないけれども。

    不動産取引の事例
     不動産でもそうである。例えば、雨が降ると、すぐお庭がべとべと水浸し(たいてい、地下水位の高さが原因)になる湿気の多い中古住宅というのは、事前にかなり調べないとよくわからない。晴れている日に見てしまえば、このような現象が起きることはわかるわけがないが、これは言わなければわからないのである。そして、そのような欠点があっても、それに買い手が気がつかなければ、その欠点があっても高い価格で転売できるわけ。

    ーーーーーーーーーーーーーー不動産取引一口メモーーーーーーーーーーーーーー
     ちなみに、土地の水はけの良しあしを晴れた日でも、ある程度類推する方法があります。

    ―斬陲梁溝を見ます。黒ずんでいる場合や水が流れた跡があるような場合、塩ビ管から水の滴りの痕跡がある場合、地下水位の高さとその可能性を懸念する方がよいと思います。側溝に出ている塩ビ管の周り、特に下部が緑色していると、それだけで、警戒したほうがよいと思います。

    ⊇斬陲猟蹐箸地面が露出する場所を見ます。そこにコケや藻類が付着してないかどうかを見ます。コケや藻類が密集して付着している場合には、少し懸念したほうがよいでしょう。ただ、日照の関係でこうなることもあるので、あまり明確な基準になりませんけれども。

    できるならば、住宅の床下にもぐります。カビ臭いにおいがしている場合は、要注意です。最近は強制換気装置があるお宅が多いので、わかりにくくなっていますが、それでもするようなら、要注意でしょう。

    また、現在は、過去の空中写真が国土地理院さんのサイト(http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do)から公開されているので、過去その土地が水田だったとか、過去その土地が畑だったとか、貯水池だったとか、谷であったところを埋めた敷地かどうかを確認できます。これで確認するだけでも、ずいぶん違います。

    --------------------------------------------------------------
    一口メモでした。できれば、家は、夕方とか、夜とか、雨の日に下見に行く方が一番良いですが。ちなみに、ミーちゃんはーちゃんは、不動産業がリアルのお仕事ではありません。関連分野ではありますが。

     情報の非対称性から、あらぬ不動産購入の際のアドバイス記事になりかけちゃいましたが、この情報の非対称性というのは、様々な場所(たとえば、北海道の食肉偽装事件など)で起きることは、少しお考えいただけたらご理解いただけるのではないか、と思います。

    メディアと非対称性
     つまり、情報の発信者側が、(これはテレビ局や新聞なんかの人でもそう)、発信できる情報の選択権をもっているということを意味する。実は世の中のいろんな場面で、この非対称性とやらが、もたらす問題が生じかねないわけですね。

     そういえば、新聞とか雑誌とかテレビは天下の公器とかいう御託を並べるご仁がおられるが、それは嘘ピョーンもいいところなのである。日本の新聞メディアがつい70年ほど前まで大本営発表公布機関になったマスメディアばかりであったことを忘れてはなるまい。某大新聞は、朝鮮人民民主主義共和国が地上の楽園だと言って、朝鮮人民民主主義共和国への帰還事業を指示するかのような情報を垂れ流ししたことも。

     この辺り、たばこの健康被害の問題とメディアとのかかわりを扱ったインサイダー(下記リンク参照)という映画が面白い。

     メディアとは偏っていて当たり前、と思って付き合った方がよろしい。偏ったメディアでも複数集めて解析して、真実は何かを考えることが大事だと思うぞ。一つの情報ソースだけに頼り、蓋然性を類推するのは、実は無益であるように思う。聖書研究でもそうであるが。

    非対称性と公共・規制の必要性・ブランド

     そして、この非対称性の問題が起きているのか、起きていないのかは、実はかなり検証がしにくい、ということろに問題があるのだと思う。また、非対称性の問題が起きていても、大したことでない場合もある。情報の非対称性をなくすために、過剰なコストを供給者、消費者双方が求めていくと、もうめんどくさくってやれなくなる。そこで、登場するのが公共的(政府とは限らない)な認証や保証や制度や規制が重要になる。そして、特定商取引法とか、個別取引規制法とか、重要事項告知の制度などがある。

     日本だと、おじゃるまるのような、いたいけな消費者の皆様も多いし、いちいち調べるのもめんどくさいので、いちいち検証したりもせず、そのまま素直に受け取ってしまうことも多いのではないか、そして挙句の果てにマスコミにだまされた、業者に騙された、ということになるのであろう。

     実は、その非対称性の枠組みの中で、取引に関するリスクを回避する方法として、信用や肩書きやブランドの力(魔力)があることも忘れないほうがよいと思うが。一定の品質保証がブランドのもとでできているからこそ、ブランドの持ち主は、劣悪な品質ややや劣る品質の偽ブランド品の排除に取り組むことになる。百貨店が独自の包み紙を使って配達するのは、その中に害を受け取り手に与えるものが入っていないことを示すための明白なブランドの伝達手段なのである。

     なお、ミーちゃんはーちゃんは、何でもかんでも規制してしまえ、という大きな政府にはかなり懐疑的であることは一言申し述べておこう。それは、統制につながり、精神的鎖国につながるから。

    マスメディアと情報の非対称性
     人間は、不幸なもので、権威をもつ人やマスメディアが言うと、それをそのまま真に受けて、それを十分検証もせず、疑いもせずに受け取り、流されたそれを『真理』と思う人たちが出てくるってことで。そして、真に受けた人たちが、自分たちが信じていることを疑いたくなくって、受け売りで同じことを繰り返し、それを再放送すると、その内容の発言者の権威性がさらに高まることになるし、それを否定しようもんなら、集団リンチを浴びせかける人が出かけない。

     これは、マッカーシズム下のアメリカで起きたことでもある。ジョージ・クルーニー(個人的にはスパイキッズとかのコメディ映画に出てくるクルーニーの方が面白くて素敵。なんて、ミーハー)主演のグッドラック・グッドナイトが面白い。

    情報の非対称性の検証のコストと
    被害のコストのバランス

     検証の手間とコストを考えると、いちいち情報や信用の検証をしていたのでは日が暮れるけれども、この手間惜しむとね、中古車や中古PCくらいなら、まだしも、中古住宅だとつらい目にあうこともよく発生しているのではないかな。

    聖書理解と情報の非対称性
     
     さて、聖書理解に話を持っていくと、説教者が外部への信者の情報遮断を意図的にやってしまえれば、情報の非対称性が発生することになる。たとえば、説教者以外が書いた書物やその教派の聖書関連書物へ絶対的肯定的な言動と、他のキリスト者集団の人々の書いたものへの否定的言動(たとえば、聖書的でない、とか、あの著者は悪霊につかれているとか、悪い霊からの風を入れてはいけないとか、こんなバカなことを言う聖書学者がいる、とか、聖書学者は信仰を持っていない等など)いえばよろしい。会衆のなかの、いたいけなおじゃる丸のような一部の人々のうちに信じる人が出てくるだろう。

     また、この集団にいる限りは安全とか、あのタイプの人たちとは交わる必要がないとか、言っておけば、ほぼ、情報断絶は完成したも同然である。知的鎖国をしてしまって、外部を見えなくして、見えなにくくした外部の対象に「悪霊の働き」とか、「リベラル」とかラベルを張ってしまえば、情報の非対称性が存在し、情報を持っていると会衆からみなされる牧会者(これが、過剰に進展すれば、全知全能ですべてのことが説明可能な牧会者となる。こうなるともはや教祖様といってもよいかもしれない)という位置を生み出すことができるし、もはや、その集団からよほどの勇気のある人間以外はその集団以外の情報源をあさることもないだろう。その結果、かなり理想状態に近い独立国家(ミニ王国)が成立でき、その集団の指導者は、裸の王様かもしれないが、王様になれるし、少なくともお山の大将くらいにはなれる。 

    鎖国と明治維新と情報の非対称性

     実は、似たようなことが、明治維新前後の集団的ヒステリーとして我が国で起きた。尊王攘夷がそれである。徳川政権下の鎖国の中で、情報の非対称性をうまく使いながら、火縄銃や青銅砲で、装甲弾を装備した巡洋艦に立ち向ったのだ。明治維新を行った薩長の人たちが、そもそもは、尊王攘夷を唱えたことは、忘れてはならない。彼らもできることなら、おそらくは尊王攘夷をし、鎖国を続けたかった、あるいは、それをイデオロギーとして掲げた人たちであったことも忘れてはならないだろう。
     非国民とラベルを張った集団的ヒステリーもついちょっと前に起きたことは忘れてはならないだろう。

    非対称性を削減するものとしての
    包括組織・公共・公共圏

     発信者と受信者という構造になる以上、非対称性は必ず発生する。そして、基本的には、受信者の能力や意思にもよるが、おおむね、発信者の方が有利な立場に立つ。また、発信者と受信者の間で、誤解が発生することは避けえない。それは、非キリスト者同士でもそうであり、キリスト者同士でもそうであるし、牧会者と会衆、メディアとその受信者においてもそうである。そのためには、丁寧なコストをかけた対話と考えるという丁寧な生き方がもとめられるような気がする。

     しかし、もう少し手っ取り早い非対称性により発生する問題やコストを社会システムとして削減する制度として、包括組織や公共ないし公共圏ということがこれまで構築されてきたし、現在もそれが存在しているものと思う。それを少し考えてみたい。

     なお、最近になって見直してみると、こんな記事をずいぶん以前に書いていた。Jugemに移行する前の記事である。

     説教者の責任と相対化して考えることの大切さ(2008.11.21) 

     内容はかなり重複するが、スマソ。説教者を相対化してとらえることの大切さをカルト被害者の会に行って感じた印象から述べた記事である。書いた張本人が忘れているのでねぇ。大変残念なお知らせを自分で自分にしてしもうた。


     次回は、包括組織の存在と公共圏の観点から考えてみる予定。そしてこのシリーズの投稿を終わる予定。

     なお、このシリーズ、聖書的根拠は全くなく、一般システム論的に、ゲーム理論的に教会を見れば、こう見えるかも、という話である。まさに世的な観点から教会を見たらこうなるかな、という記事である。

     
    評価:
    太田 誠
    創文社
    ---
    (1980-12)
    コメント:品質についての情報の非対称性の問題などの取り扱いもあったはず。

    評価:
    価格: ¥1,000
    ショップ: 楽天ブックス
    コメント:アンソニー・ホプキンスが、素朴なオーストラリア人の老人の無茶なバイカー役が面白い。前半に中古車販売店のシーンが登場する。

    評価:
    価格: ¥980
    ショップ: スマイルDVD 楽天市場店
    コメント:CBSの60 Minutesのプロデューサとたばこの内部告発者とタバコ産業とのかかわりを描きながら、現代メディアが抱える問題を示した意欲作。

    コメント
    コメントする








     
    Calendar
       1234
    567891011
    12131415161718
    19202122232425
    2627282930  
    << April 2020 >>
    ブクログ
    G
    Selected Entries
    Categories
    Archives
    Recent Comment
    Links
    Profile
    Search this site.
    Others
    Mobile
    qrcode
    Powered by
    30days Album
    無料ブログ作成サービス JUGEM