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2012.09.06 Thursday

終末論とオウム真理教のデジャブ

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     以前、ここでも書いたかもしれないが、終末論にやや強調を置く人々が多かった(一部には今なお終末論に関心をお持ちの方でそのことを聖書からとして語られる方が多い)キリスト者集団の端くれに居るので、オウムの人たちが出たときには、あれ、どこかで見た光景ということで、デジャブ体験をした記憶がある。確かに終末のことも、聖書には書いてあるけど、それだけを語るのもねぇ。予想屋じゃないんですから。

     ところで、オウム真理教といえば、世田谷道場だの富士の本部だのが取り上げられたころや石垣島セミナーのころの熱狂、衆院選のころの騒動(マスコミの報道を含めて)、終末を語る麻原彰晃こと松本死刑囚を見ているときに、あれれ、うちで1980年ごろ起きたこととよく似ている終末論だなぁ、と思ったことがある。1990年ごろまでは関東に居たので、衆院議員選挙でのNHKで放送された真理党の政見放送を見た記憶がある。

     断片的な報道の中で語られる終末論が、末法思想のような仏教的な終末論ではなく、あまりに自派の終末論と似ているので、一時期はかなりオウム真理教をまじめにウォッチしていたことがある。といっても、別冊宝島を買い込む程度、ではあったが。当時は、新新宗教ブームで、オウムだけではなく、法の華(足裏見て、寄進を要請 「最高ですか〜?」が有名)とか、大川隆法先生のグループとか、ライフスペース(死者を死者でないとした)、真光などが活発に活動していたし、信仰者の端くれとして、これらの信仰者をどう捕らえるのか、という問題意識があったように思う。主流派以外のキリスト者としての説明を果たす一環として、これらとの差異を明確にする必要があったし、そのようないわゆる非伝統宗教団体に人が集まる理由は何だったのかを知りたい、と思ったからでもあったように記憶している。それで、オウム真理教関連の本も大量に買い込んでいた時期があったが、引越しとともに、収容不可となったので、ブックオフさんに買い取ってもらった。

     大和郷にある教会のブログ記事で、最近、オウム真理教がまた取り上げられていたのと、面白そうな本(
    オウム真理教の精神史ーロマン主義・全体主義・原理主義)のご紹介があったので、とりあえず近くの図書館から借りて読んでみた。

     基本、ロマン主義を根っことして全体主義・原理主義が近代の否定として派生し、その中でオカルトやニューエイジ思想、洗脳や原理主義、ノストラダムスの大預言とがどのように位置づけられるのかを、とりあえず整理して見せた本であった。近代国家と個人の関係、近代個人と共同体としての宗教との関係、近代の国民国家を前提とした社会における個人の死をどう位置づけるのかが不確定になったことが、近代社会におけるコミュニティの崩壊に伴う個人の孤独、一種のロマン主義や特定の死の問題を扱う宗教的関心によって形成されたコミュニティの形成という視点からオウム真理教をどう位置づけるのか、という視点で書かれていたように思う。

     その意味で、この本は、オウム真理教の本ではなく、オウム真理教のようなカルト的な集団に共通する近代との対決を語っている本だし、その対決の通奏低音として、ロマン主義、全体主義、原理主義があるといえることを指摘した本である。

     その意味で、オウム真理教の本、ではなく、近代における国家と対立的な立場や、国家を無視したような集団に共通する属性を持つ宗教集団がどのような背景の中で、いかに形成されたか、そして、されうるのか、を示すための本であるといえよう。オウム真理教は、そのフレームワークから見た分析対象でしかなく、著者の主張を位置づけるための素材でしかないので、厚みが薄いとは感じた。

     同書の中で、キリスト教原理主義の中で、ハル・リンゼイという懐かしい名前が出てきた。レフト・ビハインド シリーズのティム・ラヘイと類似した主張をしておられた方である。そういえば、1970年代末の終末論ブームのころには、本が出ていた。家にもあるかもしれない。

     それ以上に驚いたのは、依然私の所属するキリスト者集団の中で、全国を飛び回って活躍をし、今も関西を中心にその関係者の方々が多い宇野正美さんという名前が出たことである。評価は中立的に(ま、学問ですから)書かれていたが、日本でのキリスト教原理主義に大きな影響を与えた人物として描かれたので、少し驚いた。高木慶太さんでもなく、宇野正美さんだったからである。

     まぁ、もちろん、宇野さんも、最初は、私の所属するキリスト者集団の中で、聖書預言(エゼキエルとダニエル書が中心)を中心に語っていたが、そのうち、シオンの議定書がどうのこうの、アシュケナージユダヤ人がどうのこうのと、次第に聖書の本論から外れていき、そのうち「ユダヤがわかると・・・」とユダヤ陰謀史観にのっとった本を何冊かお書きになられ、次第に、教会を中心にするのではなく、全国各地で主に中小企業の管理職や社長クラスの講演活動を中心にされていったようである。

     宇野さんは現在も講演活動をされておられ、最近はフォトンベルトだの地震兵器だのにも講演の内容が及んでおられるようです。先日改革派のある若い牧師さんから、先生、これ、知ってます、と聞かれて、「あっちゃー、宇野さんねぇ。昔はうちの看板説教者だったけどねぇ・・・」と答えざるを得なかったと同時に内容がどんどんオカルトになっているその変わりようにびっくりしてしまった。聖書はどこに行ったのだろう。宇野さんにとって・・・。

     ところで、先に上げた本の中での大田さんの主張には、おおむね賛成できるなぁ、と思った。私の所属するキリスト者集団は、19世紀イギリスのロマン主義の影響を受けていることは確かだし、そのことは、私の属するキリスト者集団のアメリカ人の信者さんで、テキサスの聖書学校をしておられた先生が、著書で指摘しておられる。

     私は、私の属する集団が、キリスト教原理主義者の中の原理主義者といってもよい集団であることも、私は、認める。ま、逐語霊感説に立ち、聖書に書かれている通りを信じるという意味では、J.I.Packerの言う意味での原理主義では少なくともその分類に属する。私の所属する集団の大半の人は、そうは言わないと思うが。そもそも私がその片隅にいるキリスト者集団では、「自分たちをキリスト教ではない」と言い切る方が多いので。それって、一種の原理主義者じゃないか、と思うのだけれども。では、多くの私の属するキリスト者集団の信者さんが、なんというかというと、自分たちは、「聖書の神への信仰者であって、キリスト教という宗教に属するものではない」とご自身を定義する方が多いと思う。「聖書の神への信仰者であって」というのはその通りであるが、「キリスト教という宗教に属するものではない」は、いたずらに一般の方に混乱を招くだけだと思う。外部から見る限り、キリストに対する信仰がある以上、キリスト教だと見えるからである。


     私は、所詮、キリスト教という語は外部の人たちが私たちに張るラベルに過ぎないから、そこを云々しても無意味だと思っているので、「キリスト教ですか?」といわれたら、「はいそうです、宗教改革前後に発生したキリスト教の影響を強く受けていますよ。」といいます。説明が面倒だし。どうせ細かなことを説明してもうんざりされるか、わかった顔をされて、説明を聞くのを回避されるので。大体、ルターは知られていても、カルヴァンは認識していない人も多いし。ツィングリに至っては何をかいわんや。

     話をオウムに戻すと、オウムがおもちゃ箱のようにいろいろなグループのオカルトチックというのか証明不可能な話を持ち込んで、自派の教説に取り込んでいたのは有名な話であり、これらは、別冊宝島(今は手元にないのでわからない)で、ある社会学者だったか宗教学者と麻原さんとの対話の中で、ビックリマンチョコかおもちゃ箱をひっくり返したような、という表現で、オウムの主張のシンクレティズムの多様性が紹介されていたような記憶がある。対談相手は、宮台氏だったような気がするが・・・。そのうちのひとつに、キリスト教のディスペンセーショナリズム(古典的ディスペンセーショナリズム)が持ち込まれていたようであり、その主張の根源が、日本人ユダヤ人同祖論だったり、シオンの議定書だったり、再臨信仰だったりしていたので、何かどっかで似ている、と私が感じてもしょうがなかったのだなぁ、と思った。
     
     オウムを見てデジャブと思ったのには、それなりの理由があったのだと思って、少し安心した。

     あと、この本を読んで、少し気になったことがあるが、それはまた次回に。



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