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2018.12.10 Monday

アメリカのキリスト教会とアメリカ政治をたらたらと考えてみた(5)

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    前回の記事では、いわゆる福音派と呼ばれるアメリカ合衆国の大統領が最近多かったこと、特に、カーター政権は福音派出身の大統領が困難と思われた中東での平和を実現したこと、そして、宗教とりわけキリスト教と敵対的であった社会主義ないし共産主義が勝手に崩壊、自滅してしまい、国外に戦うべき相手がいなくなってしまったことをお話しました。それが、ロナルド・レーガン大統領時代に起きてしまったわけです。

     

     

     

    正面切って戦った相手が自滅した後で

    その結果、国内政治的には、共和・民主両党で大きな政治的な課題が大して変わらず、妊娠中絶や銃の問題などが政争の話題になると同時に、国際政治的には、バルカン半島では、重しがなくなり民族紛争と、国家の分断が起き、民族と宗教集団などの間の過去の対立が生まれたり、アフリカでは、民族集団ごとの対立が起きました。それがクリントン政権以降の政権下で起きたことだったように思います。世界のあちこちで、地域紛争がもぐらたたきのモグラよろしく出ては消え、出ては消えしていく時代が続きました。軍事大国の大軍団同士の戦闘行為というよりは、ベトナム戦争を小規模化して再現したかのようなタイプの小型の小規模紛争がポコポコと起きる状態になっています。

     

    コソボ紛争に関与すると国民に告げるクリントン

     

    ブラックフォークダウンの予告編

     

     

    軍事支援のブーメラン効果

    その後、石油利権がらみなのか、独裁的な中東諸国の自壊的自滅を待つかたちでなく、大量破壊兵器製造疑惑(そもそもそういっているいわゆる大国というのか、国連常任理事国がいまだに製造してたり、貯蔵しているという問題はさておいて)とかをでっち上げに近いかたちでいい募り、ムスリムの皆さんに反米感情を売り付け、アフリカで民兵擬きに最新ヘリコプター(といっても、最新とは言いがいけど)をロケットランチャーというめっちゃしょぼくて激安の安い兵器で打ち落とされ(クリントン政権時点)、自国の民間機でこともあろうことか、国防総省の建物にカミカゼ攻撃されるは、ニューヨークの世界貿易センタービルに突っ込まれるは、調査してたはずの国土安全保障省や、FBI は阻止できなかったという失態を演じたあげく、ウサマ・ビン・ラディンをかくまいやがって、と訳もわからずイラクに攻め混み(ダボやと呼ばれたブッシュ政権およびオバマ政権時代)、中東の国民感情にやたらと反感を売り付け、かつて自分達が戦闘訓練や武器を供与したり、販売した相手が、その武器で自分達に立ち向かってくるという逆説に見舞われているのが、現状ということになります。

     

    おまけに、過去武器供与したり、自分たちが軍事訓練したISIS団が出てきてこんにちわ、となったり、イラクの反フセイン勢力だと思っていたら、フセイン政権が倒れたら倒れたで、イスラムの大義を掲げて、カリフ制とか言い出して(正統カリフのアリーの血統がすでに絶えているはずなので、そのカリフ制の正統性はかなり怪しいはず)イスラム国とか言い出すし(オバマ政権時代)、ウサマ・ビン・ラディン殺害に成功しても、政情は不安定だし、そんな関係でアフガニスタンに派兵した主力部隊の州兵は帰ってこないし、もともと治安用部隊で軍隊としての戦闘能力の練度の低い州兵の犠牲者自爆テロでじわじわと出ているし、シリアの親ロシア傾向もあり、シリアの内戦状態は一向に解決せず、難民がヨーロッパに流入し続ける(オバマ及びトランプ政権時代)し、かつての古代の強国、アッシリアを生んだシリアはボロボロになっちゃっているし、という状態になっています。

     

    ウサマ・ビン・ラディンの殺害時の突入ライブ画像を見る大統領を含む高官たちの様子

     

    ロシアとの微妙な関係

    おまけに、以前なら、ソ連(現ロシア)は共産主義で信仰の自由を認めないから、けしからんとか正面切って言えたからいいですけど、共産圏でなくなったロシアにおかしいやないか、と文句言うこともできず、大統領選挙に介入した、朝鮮人民民主主義共和国と不正取引している疑惑や、ウクライナに軍事侵攻している(ウクライナには、ソ連海軍の基地があるので、どこまで、内政上の問題なのか、国際政治関係上の問題なのか、というのは、かなりややこしい問題を持つ)というような口実で嫌がらせをする程度しかできず、正面切っての外交攻勢を仕掛けるわけにもいかない中で、対応に困っているのが、現在の米国の姿だと思うのです。

     

     

    大統領選でのロシア疑惑を揶揄するシンプソンズの動画(登録しているのに名簿がないと騒いでいるが、上半身裸で馬に乗って選挙を終えたという設定のプーチン大統領にの人物が出てくる)

     

    昔と変わってしまった大統領候補に求められる基準

    1960年代や1970年代(あぁ、もう半世紀以上前)なら、離婚歴があり、不倫問題が付きまとい、性的嫌がらせ(セクシャルハラスメント)発言や問題発言の目立つトランプたんは、福音派以外からも、大統領の品位がないとか言って批判されていたでしょうが、サザンバプティストで、福音派的な価値観を共有していたはずの、ビル・クリントン(ババ)たんは、モニカ・ルウィンスキーたんとの不適切な関係で話題に事欠かず、浮いた噂のなかったバラク・オバマ大統領は名前が中東風だったり、アフリカ系の留学生のお子さんだったりと今一つでした。

     

     

    モニカ・ルウィンスキーたん(最近はMe Too運動で登場のご様子 https://www.vogue.com/article/monica-lewinsky-marks-20-years-survival-me-too から)

     

     

    そんな雰囲気の中2016年の大統領選挙に突入し、最終的には、ババ・クリントンの嫁のヒラリーたんとドナルド・トランプたんの一騎打ちになりました。とはいえ、この2016年大統領選挙の候補者は、アメリカ史上初になる可能性がある候補ばかりでした。

     

    アメリカ史上初の属性を持った大統領候補たち

    民主党(リベラル政党側の)大本命とメディアが思っていたヒラリー・クリントンたんは女性というハンディキャップと東部出身のエリートのにおいがプンプンして、庶民的な演出をするも、時すでに遅し、そもそも、ババに不倫されているという曰く因縁付きの候補ですし、製薬会社や保険会社からの企業献金問題を抱えていました。あと、アメリカ軍(陸軍、海軍、空軍、海兵隊)は、最高司令官が大統領ということになっているので、現在世界最大の武装集団の一つでもある軍を抑えきれるのか、という疑念が付きまとったことも確かです。

     

    ヒラリーたん(体調不良が選挙終盤に問題視され、トランプ陣営からネタにされた)

     

    もう一人のリベラル候補はもともとアメリカの中でもいや事を言われる傾向が未だにあるユダヤ系のサンダース上院議員で、おまけに自分は社会民主主義で、貧者へのケアを学費免除や医療保険といった制度で厚くしたいと、キリスト教徒にとっての禁じ手の社会主義、共産主義をほうふつさせるような政策を掲げていました。

     

    バーニー・サンダースたん(1分57秒くらいから社会民主主義者だと主張しているシーンがみられます)

     

    逆に共和党は、アメリカのテレビ番組に出たり、金満家のにおいをプンプンとさせ、セクシャル・スキャンダラスの絶えないけども、中学生でもわかる英語で繰り返し同じ内容を語るトランプ候補が最有力候補で、その対抗馬で最後まで大統領候補の座を争ったのが、マルコ・ルビオという名前からしてヒスパニック系の候補でしたし、カトリックの関係者でしたので、JFKの悪夢が思い起こされるこうほでもありました。

     

    Sex Scandalを大統領選の最後に問題にされたドナルドトランプたん

     

    マルコ・ルビオ大統領候補


    その意味で、4者4様にこれぞ、大統領候補として万人受けする候補、という候補がいなかったのも確かなのです。

     

    なお、実際的なアメリカ社会の労働市場における社会階層と民族との関係は、かなり実力主義的であるとは言うものの、最上位層に、ヨーロッパ系のアングロサクソン系、その下に非アングロサクソンのヨーロッパ系、その下にアジア系かアフリカ系、その下にヒスパニック系という階層もあり、マルコ・ルビオ候補はかなり最終段階まで頑張ったんですが、結果的に、自ら共和党の大統領候補の選出プロセスから自ら降りてしまう、ということになりました。

     

    シンプソンズによる大統領候補だった人たちに関するアニメ

     

     

    なぜ、福音派はトランプ支持に回ったのか

    では、なぜ、福音派派2016年の選挙で、トランプ支持に回ったかを少し考えてみたい、と思います。結論から言えば、消去法での選択であったであろう、ということであろうと思います。もともと、福音派に近い精神世界を持つキリスト教群で育ったので、なんとなくこのあたりの感覚はわかります。個人的にはどちらかといえば、福音派左派に思想的には近い、と思っていますが。

     

    前回もご紹介したように、アメリカは基本的に二大政党制ですから、共和党(保守系、GOP)か民主党(リベラル系)を選ぶことになります。この際に基準になるのか、銃規制への賛否、公教育での進化論の是非や、同性婚への賛否、妊娠中絶に対する態度が両党でどう違うか、ということにならざるを得ないことになります。具体的な政策では両党とも、言うほど違いがそれほどあるわけでないので、国内内政での割とわかりやすい差別化の線は、価値感の表明部分だけになります。

     

    表形式に両党の候補の基本主張の傾向をまとめてみますと

         | 共和党  | 民主党  | 

    ----------------------------------------

    妊娠中絶 |  反対    |   容認

    同性婚  |  反対  |   容認

    銃規制  |  反対    |   容認

    進化論  |  反対    |   容認

    -----------------------------------------

    となりますので、減税政策、経済政策、外交政策にすぐには大きな変更をもたらすような政策は表示しにくい、という状況を考えますと、キリスト教福音派(右派)の皆さんにとっては、共和党がよさそうに見えます。とはいえ、基本の方向性なので、候補によって微妙に違いがあります。以下に銃規制でどういう態度を各候補がとったか、という画像をニューヨークタイムズで見つけたので、ご紹介しておきます。

     

     

    銃規制に対する大統領候補の態度 https://www.nytimes.com/interactive/2016/us/elections/candidates-on-the-issues.html から
     

     

    さらに、福音派にとってはかつての敵視対象だった社会主義をほうふつさせるバーニー・サンダースという独立系で結構高齢の候補(最終的には民主党の候補になる)か、聖書に書いていあるからということで男性優位主義を維持したい人々にとって、我らが大統領と仰ぎ、軍の指導をする人物となりかねない大統領が女性、というのは、なかなか受け入れがたいと思います。軍人(特に将官以上)は、基本的に未だにボーイズクラブなので、基本的に女性大統領から命令されたくはないはずですし。でも、大統領になられちゃうと、その命令には軍は絶対の従うことになるのですから。

     

    そういう雰囲気の中で、最後まで共和党の大統領候補の座を争ったのは、女性問題が絶えない離婚歴と破産歴を抱えているまぁ、あまり好ましくなく見えそうだけど、一応、ドイツ系であるトランプか、そういう問題はないけど、カトリック系でおまけにヒスパニックの若いルビオか、という選択になれば、トランプ一択になり、ルビオ候補は途中で降りちゃいます。

     

    多分、こういうことがトランプ大統領が2016年の大統領選挙で起きたのだ、と思います。

     

     

     

     

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