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2018.12.12 Wednesday

アメリカのキリスト教会とアメリカ政治をたらたらと考えてみた(6)

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    合衆国大統領の特別さ

    本当かどうかはよくは知りませんが、坂本龍馬か、他の幕末の志士と呼ばれる人々の一人は、アメリカ大統領ジョージ・ワシントンの子孫が普通の市民になっていることにいたく感動したとかしなかったとかいう話があります。大統領の子孫は普通の人ですが、アメリカ大統領は生きている間は、大統領、Mr President と呼ばれ続けます。史上最低の大統領の一人であり、自ら辞職したニクソンですら、Mr.President(大統領閣下)を呼びかけられるが普通なのであって、形式的とはいえ、尊敬を集める存在ではあります。

     

    そして、文官でありながら軍隊を動かす実力を有しているのが合衆国大統領でもあります。先に述べたように、退職しても、形式上、儀礼上は大統領と呼ばれ尊敬される存在ですが、在任中にあっては、アメリカ国家統合の象徴でもあり、その権限と存在は半端がないものがあり、ホワイトハウスで淫行に及んび、本来大統領にあるまじきことをした大統領であっても、弾劾(Impeach)され、その職から追い出されない限り、その権限と権能は個人に付きまといます。議会がなんといおうとも、軍を動かす権限を三軍の長としての権を持つわけですから、議会に対してかなり強力な拒否権を持ち、いざとなったらやりたい放題できるのが米国大統領という存在です。実質上の独裁政権に近いことが、制度上は、かなりできるのです。実際には、自由と民主主義を標榜する国家ですので、なかなかそうはできませんし、自由に実行し独裁に近いことをした大統領は居ませんが。

     

    大統領が暴走を始めたときに留めるのは、軍が実力で阻止するか議会が弾劾するか、憲法修正第2条で承認された権利を行使して武装民兵集団を構成し、大統領を「社会の敵」、「国民の敵」とみなして、物理的に反乱を起こし、大統領の方針の修正を迫るしかしかない、というのが実際の様ですのです。

     

    トランプ政権以降のアメリカの内外政治

    Make America Great AgainやAmerica Firstを掲げたトランプが大統領職に就任し、トランプ政権が成立して以降、実際、かなりこれまでとは違う強烈な内政・外政政策がとられ、メキシコ国境の強化、頭脳労働者を含め、アメリカ市民以外の入国管理と審査の厳密化、不法移民対策の厳格化を図り、極端な場合、不法移民とその子であるアメリカ国籍保有者の子供との間の親子の間を無理やりに裂き、内政面では、自分の意にしたがわない高位の大統領の直接任命官僚を次から次へと首切り以蔵のように、雇っておいては、気に入らないといっては解職するという荒業をやっています。

     

    新聞人事ということばがあり、辞令より先に新聞紙上で自分の身分移動を知る、という組織としてあまりよくない状態がありますが、現トランプ政権の人事は、まるで、ツイッター人事と言いたくなりそうな状態です。

     

    国連総会で、America Firstで何が悪い、みんな当然自国第一主義やってんじゃん、との発言したシーン

     

    Make America Great Again発言

     

    不法移民対策で親子分離したことに関するニュース・クリップ

     

    実質的に首になったティラーソン国務長官

     

    退任させられたFBI長官

     

     

    退任させられたセッションズ司法長官

     

    まさにこの番組みたいに首切りまくるトランプ大統領

     

    テレビ番組時代のトランプたんのキメ文句 「お前は首」 

    https://www.pinterest.jp/pin/509399407827847182/ より

     

    まぁ、もともと、アメリカの高位官僚は、政権が変わるとガラッと変わるし、ホワイトハウス時代の暴露本出したり、講演活動があったり、ワシントン時代の人脈を最大限利用してロビイストになったり、弁護士資格持っていると弁護士の仕事をしたりと、仕事やお金に困らないことも多いので、困りはしてないのが、日本と違うところではあるように思います。

     

    すぐ仕事を見つけられる高級官僚はいいとして、かわいそうなのは、大学院生とか、IT企業にお勤めで、生活の場がアメリカにありながら、トランプたんの大統領就任をまたいで、アメリカに入国しにくくなった人々とか、親が不法滞在移民状態になっていて、その子供がアメリカ国籍持っているとかで、親が不法移民として強制退去処分になり、収容され、親子分断されてしまった親子たちの皆さんです。まさに、こんな感じだったかも。

     

    マタイによる福音書 2章16-18節
    さて、ヘロデは博士たちにだまされたと知って、非常に立腹した。そして人々をつかわし、博士たちから確かめた時に基いて、ベツレヘムとその附近の地方とにいる二歳以下の男の子を、ことごとく殺した。 
    こうして、預言者エレミヤによって言われたことが、成就したのである。 
    「叫び泣く大いなる悲しみの声が
    ラマで聞えた。ラケルはその子らのためになげいた。子らがもはやいないので、慰められることさえ願わなかった」

     

    不法移民対策で親子分離したことに関するニュース・クリップ

     

    この動画を見たときに、まさに、この話を聞いた時に、トランプ大統領ってほとんどヘロデみたい、と思ってしまいました。あと、この事件の映像を見ながら、ナチスドイツの強制収容所の収容にあたって、親子を分離したナチスドイツのやり方をアメリカ在住のユダヤ系市民に思い起こさせたのではないでしょうか。まぁ、トランプたんの義理の息子(イバンカたんの旦那のクシュナー)さんがユダヤ系なので、ユダヤ系に同様なことをするとは思わなかったでしょうが。

     

     

    新移民(不法滞在者)に対する冷遇と聖書

    ホンジュラスから出発した経済的移民の群れが、メキシコとアメリカの国境に達したとき、陸軍を動員し、これらの人々を入れなくすると、圧力かけるわ、催涙ガス弾はぶっぱなす、国境警備隊を大動員するわ、ということで対応したことはニュースで流れたのが10月中旬のことでした。

     

    この時期、アメリカ合衆国では11月末のThanksgiving Dayに向けてのお祝いの準備を始め、旅行のための飛行機のチケットをとったり、今年のThanksgiving Dinnerをどうするか、でいろいろ考え始める時期でもあるのです。

     

    そもそも、このThanksgiving Dayとは、どの程度の真実性があるかどうかは別として、自分たちの理想を達成するためとはいえ、難民同然(とは言いつつ、自分たちの子供たちの信仰的な純粋性を守ることが、豊かなオランダではできない、と考えため)で、今のニューイングランドにオランダから命がけで流れ着いたようにやってきた人たちであったことだけは確かです。

     

    メキシコ国境に集結する移民にガス弾をぶっ放したことを伝えるFake Newsと批判されているCNNの映像

     

    Thanksgivingの背景をわかりやすく描いた解説

     

    イスラエルの民も元々は、経済難民(カナンの地が飢饉に襲われ、エジプトの地に飢えて流れてきた民族)で、エジプトの地から約束の地に戻るだ、といって戻ろうとするときにも、もう一度難民化し、カナンの地に入ろうとすると、まぁ、カナン人をはじめ、様々な諸民族がいる中、乳と蜜の流れる地であるイスラエルの中に定住し始めるわけなのですが、その出エジプトの過程で、イスラエルが神からいわれていることは、在留異国人あるいは寄留者に親切にしてやれ、ということだったりしているわけですが、申命記の中には次のように書かれています。

     

    【口語訳聖書】申命記10章17-19節
    あなたたちの神、主は神々の中の神、主なる者の中の主、偉大にして勇ましく畏るべき神、人を偏り見ず、賄賂を取ることをせず、 
    孤児と寡婦の権利を守り、寄留者を愛して食物と衣服を与えられる。 
    あなたたちは寄留者を愛しなさい。あなたたちもエジプトの国で寄留者であった。 

     

    この前、何の気なしにCNNのニュース番組を見ていたら、ホンデュラスからメキシコ経由でアメリカに流入しようとした人々は、結局ホンデュラスが気候変動の結果の飢饉で、トウモロコシなどが取れず、飢饉状態になって、流れ着いたというではありませんか。まるで、エジプトにくいっぱぐれそうになって、流れ着いたヤコブあるいはイスラエルの子らのようなのです。

     

    https://edition.cnn.com/videos/world/2018/12/10/migrant-caravan-climate-change-honduras-drought.cnn

     

    直接確認したわけではありませんが、単に経済危機だから、国を脱出した、というよりは、食べることができないから、出稼ぎに行くか、住む場所を移動するしかなかった、ということのようです。

     

    聖書を文字通り信じていたりするはずのアメリカの福音派の皆さんや、イスラエルとは、現在のキリスト者のことだ、と考える置換神学の人々は、いまのアメリカのトランプ政権のとっている在留異国民や、寄留者にたいする自国政府のとっている態度と状態とを、どう考えておられるのだか、聞いてみたい気がします。

     

    排除的であるトランプワールド

    なぜ、ここまでトランプ政権が、アメリカ・ファーストを言い募り、新規移民の流入に対して対抗的で、排除的であるのか、ということを考えてみますと、アメリカが余裕を失ってきている、ということがあるように思います。1980年代の対日貿易赤字が非常に大きくなった時代も、余裕を失ったアメリカは、現在の中国のような世界の工場としての位置づけを持っていた日本に市場開放を(有体に言えば、アメリカ製品を何でもいいから買うように)求めました。おかげで、科研費の申請でも、アメリカ製のバカ高いUNIXワークステーションを買うとか入れておくと、割と通りやすかったりした時代がありました。また、デトロイトでは、以下の動画のような日本製のトヨタ車を壊す足りするようなデモンストレーションが行われました。

     

    古いトヨタカローラを壊すイベントを放送するニュースクリップ

     

    その後、日本の自動車産業は生産の拠点をアメリカ国内に次々と移し、日本からの輸出ではなくアメリカ国内での生産に変えていきました。まぁ、世界の自動車産業をリードしていた意識のあったアメリカの自動車産業の関係者やアメリカの国民意識からしてみれば、オイルショック時代に低燃費で走行する技術を持った、おもちゃみたいな日本車が低価格で大量に量産車として流入してきたことに耐えられなかったのだと思います。欧州車は、高級車路線で、基本的に高価格商品として米国市場でも売られていたこともあり、また、輸入量もそう多くなかったこともあり、批判のターゲットにはならなかったのだと思います。

     

    近年のアメリカの経済的不況(すなわち、失業者が多い状態、実質給与が低い状態)の場合は、比較的明確な日本というターゲットやほかの戦争の発生(軍事費用と武器の使用の拡大による政府需要の拡大に伴う実需の拡大 政府の国内投資と同等の効果を持つ)という要因で、経済的な不況が回避されてきたりしてきたわけですが、海外での戦争が小型化する中で、政府需要の拡大の効果も薄くなり、経済的不況の回避策としての効果が薄くなっている側面もあるように思います。

     

    戦争で支出を増やしても、海外経済協力で支出を増やしても、基本マクロ経済学的には同じ効果が得られるのですが、現在のアメリカ製の何かの製品群を導入して、そのまま使える環境がそう多いわけではないこと、そもそも、アメリカ製の何かをそのままシステム導入できる環境がそうあるわけでもなく、現地からの技術導入の依頼がそう多いわけでもない、ということはあります。たとえば、農業機械にしても、やたらとでかすぎ(単体価格が高すぎ)、その国の実情に合わない、という側面があります。

     

    巨大なアメリカ製コンバイン(大型トレーラトラック6台分ぐらいの幅がある)

     

    世界を取り巻く情勢の変化もあり、外からの資金、貿易収支が得られなくなったアメリカは、結局守りに入るしかなくなり、その結果として、自分たちの現状を維持したい、あわよくば、外部からやってくる新しい移民といったような他者を排除することで、自分たちの豊かさを取り戻したいという思いにとらわれているような気がしてなりません。

     

    結局、アメリカの福音派の皆さんが割と多い、中西部の場合、農業地帯ですし、農業は、基本、天候相手であり、不安定要素が多く、アメリカでも、基本補助金漬けであるという性格を持ちますし、彼らの生活パターンが非常に保守的でもありますので、政府への支持、という面で、保守的な性格を持ちやすいという側面もあるように思います。その結果としてのトランプ支持、あわよくば、自国の代表的な輸出産業でもある農業とその関連産業の保護を強化できれば、という側面も保守党である共和党支持の構造につながる側面もあるようにも思います。

     

    次回へと続く

     

     

     

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