<< プロセスとしての信仰、決断としての信仰(3) | main | アメリカのキリスト教会とアメリカ政治をたらたらと考えてみた(2) >>
2018.11.21 Wednesday

アメリカのキリスト教会とアメリカ政治をたらたらと考えてみた(1)

0

     

    最近、アメリカの中間選挙があって、NHKの9時のニュースとか等でもアメリカの議会の中間選挙とキリスト教との関係が取りざたされているところに、こないだ、枚方の関西凸凹神学会(KDKと称している)という牧師信徒の相互研修会である先生がトランプ政権とアメリカの福音派の話をしてくださってとても印象的だったので、ちょっとそのあたりのことにも触れてみようかと。なお、枚方でのKDKで講演者の方がお話されたネタは、一切書けない野はご理解ください。公開を禁じられましたから。

     

    ということで、これから書く記事は、全部ミーちゃんはーちゃんの思いと想像に基づく私小説(というよりは、歴史的観察をしている門外漢の床屋清談)の域を出ない、と思っていただければ、と思います。

     

    アメリカという国の建国神話と東部人

    まず、アメリカ政治の原初形態と現在にまで至るその背景を考えるためには、建国の父たちが、ヨーロッパからの宗教的難民であった、ということを理解する必要があると思います。つまり、メイフラワー号で流れ着いて(というよりは北大西洋航路を航海して)アメリカに建国したのは、当時の大英帝国と一体化した、英国国教会からはじかれた人々が自分たちのいきるコミュニティを形成しようとした地域を出発点としている、という現象があったからでもあります。

     

    その意味で、生命の危機を含む物理的迫害を含め、命からがら大英帝国(イングランド)から逃げてきた人たち(いわゆる難民)であったわけです。

     

     

    アメリカの建国神話を揶揄して銃規制とのつながりを描いたアニメ

    (マイケル・ムーア監督 ボーリング・フォー・コロンバインの中の映像)

     

    ニューイングランドと新しいエルサレムとの対応関係

    その命からがらイングランドから逃れてきた難民の人たちが自分たちの宗教コミュニティを中心とした国家を作るべく建国した国が、ニュー・イングランドであったわけで、新しい地(これは黙示録のメタファーの、この地は新しくなりそこには、悲しみも、叫びも、痛みもない地にしたい、という思いで命名したのかもしれません。

     

    【口語訳聖書】 黙示録
    21:1 わたしはまた、新しい天と新しい地とを見た。先の天と地とは消え去り、海もなくなってしまった。
     21:2 また、聖なる都、新しいエルサレムが、夫のために着飾った花嫁のように用意をととのえて、神のもとを出て、天から下って来るのを見た。
     21:3 また、御座から大きな声が叫ぶのを聞いた、「見よ、神の幕屋が人と共にあり、神が人と共に住み、人は神の民となり、神自ら人と共にいまして、
     21:4 人の目から涙を全くぬぐいとって下さる。もはや、死もなく、悲しみも、叫びも、痛みもない。先のものが、すでに過ぎ去ったからである」。

     

    ところで、英国で歌われている讃美歌では、イングランドが古代の時代のエルサレムとの対応関係にあるとうたうような賛美歌もありますが、ニューイングランドは新しいエルサレムである、という意識がニューイングランドという言葉の背景にあると思うのです。なお、以下は、ある程度古い讃美歌ですが、イングランドがエルサレムとの対応関係にあることを歌った賛美歌でもあります。

     

    エルサレム 国家 とも訳せる賛美歌

     

    ニューイングランド地方の地図 ボストンが中心

     

     

    Betsy Ross と呼ばれる東部13州時代の星条旗

     

    反乱者の巣と称する公立学校もあるし

    アメリカの建国活動、独立運動にかかわったのは、東部13州であるので、伝統的に、政治的にも、いまだにこの東部13州の影響がかなりあります。弱くなったとは言えども、東部13州の影響は出てきます。というのは、この東部13州独立の際の建国神話が小学校などで語られるから、という側面もあります。そして、日常的な場面で、建国神話が見られたり、語り継がれることもあり、アメリカ国民の精神的風土の中に、13州の独立の建国の精神がいまだに生き延びている側面があちこちにあります。例えば、Patoriotという映画などでは、その時代の雰囲気をよく伝えていて、そのアメリカ国民の精神的風土を持っているらしく、普通の公立の高校なんかでも、その高校を指すのにHome of Rivels(反逆者どもの家、反乱者の基地)と呼んだりしています。

     

    Patoriotという独立戦争をアメリカ側からの視点で描いた映画

     

     

    高校の正門のところに描かれたHome of the rebelsという文字

    https://www.eastbaytimes.com/2018/01/26/san-lorenzo-high-school-eyes-mythical-phoenix-as-new-mascot/ より

     

    別の公立学校の正門のところに書かれたHome of he rebels という文字

    http://bryancountypatriot.com/silo-announces-rebels-storm-scholarship/

     

    銃規制と建国神話

    この反乱者が造った国なので、彼らは、ミリシアと呼ばれる民兵を構成する権利を合衆国憲法修正第2条で保障されており、憲法上の権利として、民兵を組織することができる、ということなので、彼らは、銃を持つのはアメリカ合衆国国民に与えられた権利であり、それを取り上げようとする動きに対しては、憲法に反し、基本的人権に反する考えである、という論理構成ができるため、どれだけ、銃による悲劇が起きても、銃規制に国家としてかじを切れない、銃規制を実行に移すことが困難であるという側面があります。憲法修正第2条を書き換えると同時に、国民のマインドをそちら側に切り替える必要があるからです。

     

    カリフォルニアの銃撃事件での被害者のお母さんが祈りやお悔やみはいらない、神による銃規制がほしいのだと訴えている映像

     

     

    上の動画でもありますように、上でご紹介した動画のお母さんの信仰がどのようなものかは、知る由もありませんが、銃規制を神に必死に願うという言葉にもありますように、神を出さないとまた、銃規制もできないし、銃規制反対の人々も神の名において銃規制反対を訴える国が、米国であるわけです。これが、市民宗教としてのアメリカ合衆国の姿ということが象徴的に表れているシーンかもしれません。銃規制反対を言う方も、同じ神の名において、一方は銃規制反対を言い、一方は銃規制賛成という。それがアメリカという社会の現状なのだと思います。

     

    大統領の出身地から見てみると
    歴代大統領を見ておりますと、以下の部分に示すようにかなりの部分が東部人ないし東海岸人で、中西部がちらほら、西部諸州にいたっては、カリフォルニア出身は、ニクソンくらいで、基本的に東部人がアメリカ合衆国の実際の政治的実権を握ってきたといって過言ではないと思います。あと面白いのは、政党の支持と地域との関係にかなり特徴があり、東部諸州と南北戦争で戦った東岸の南部諸州は、基本的に民主党などのリベラル政党(民主党)の大統領がおおいという特徴があり、中西部は共和党が非常に強いといういことを示しています。また、伝統的にニューイングランドとオバマがハワイという辺境州出身の大統領だったということです。

     

    中西部で民主党出身の大統領は、トルーマンとビル・クリントンだけですよねえ。

     

    https://www.livescience.com/53314-map-of-birthplaces-of-us-presidents.html より

     

    これを今回の中間選挙の下院の結果と重ねてみると、非常に面白い結果になっています。下院House of Representativesは、逆転

    とはいえ、中西部が真っ赤になっている(共和党)が勝利しており、東部13州のニューイングランドは二つに分かれ、北部ニューイングランドが共和党支持に回り、ニューイングランド南部、南北カロライナ(旧カロライナ植民地)と南部のルイジアナ、西部農業州では、コロラドとモンタナだけが、青くなっており、民主党の候補が勝ったことを示しています。

     

    2018年中間選挙の最終結果 http://nymag.com/intelligencer/article/2018-midterm-election-tracker-house.htmlより

     

    前回2016年の大統領選挙の時も同じような傾向ですが、基本、ニューイングランドの大半と西海岸は民主党支持、南部と中西部はほぼ共和党(トランプとペンス)支持となっています。

     

    2016年の大統領選挙の最終結果 https://www.270towin.com/2016_Election/
     

     

    2004大統領選挙の際の最終結果

     

     

    その意味で、基本的なパターンとして、ニューイングランドと西海岸が民主党支持色が強く、それ以外のところは、共和党、ただし、自動車、輸送機関連産業の多いイリノイ州はUAW(全米自動車労連 United Automobile Workers 実はかなりの政治的な勢力を過去は持っていた。労働問題との関係から、本来民主党系)との係わりもあるのでしょうが、民主党支持という傾向があるのがわかります。

     

    これらを見ても共通なのは、東海岸でのヨーロッパ大陸からの定着が早く、かつ、南北戦争の際に北軍側の主力であったニューイングランドと西海岸、カリフォルニア、オレゴン、ワシントン州とハワイ州は、基本的リベラルというか開明的というべきなのか、あるいは、従来の考えに疑問を抱くようなタイプのお考えの方が多く、旧南部連合地域とそれ以西は、ロッキー山脈まで、あとアラスカは、そろいもそろって、従来の在り方にこだわるというか、保守というか、伝統志向というかという感じの方が多く、その結果古き良きアメリカを体現すると主張する共和党(Good Old Party GOPと呼ぶことがある)支持という構造が見えます。

     

    今なお続く南北戦争としての選挙

    これらの図を見てわかる通り、大統領選挙や、上下院選挙では、選挙という形、政治的言辞という形での南北戦争をいまだにしているといっても過言ではないと思います。南北戦争は、血を流す政治をやり、大統領選挙や上下院選挙は、血を流さない戦争をやっていて、それを2年単位でやっているのが、アメリカだといっていいと思います。

     

    西部人でも、元々は、東部でくいっぱぐれた人々や、一旦は移民として、イギリスから、アイルランドから、そして、ドイツから、オランダから流れ着いた人々、そして、アフリカから、市民権がない状態で、奴隷として連れてこられた人々が南部から東部へ、西部に出ていき、そして、北欧から、さらに中央ヨーロッパからの移民が東部のニューヨークのエリスアイランドに流れ着き、その後西部に出ていく、という経緯をたどっていきました。一部は経済難民、一部は宗教的難民、一部は政治的難民という難民の群れであった人々が、次第に西部へ、西部へと、ロッキー山脈にたどり着くまで、流れ着いていく中で、東部の文化を持ったまま、彼らは西部に流れ着いていったわけです。

     

    この結果、アメリカの政治風土の空間的分布は、次のような格好になるようです。

     

    北東部(ニューイングランド)ー リベラル ー 民主党支持

    中西部 ー 保守(コンサーバティブ) − 共和党支持

    西海岸 ー リベラル ― 民主党支持

     

    という政治地理的構造は、比較的米国で安定的な構造ですので、アメリカの政治風土を考えるとき、覚えておいて損のない構造です。ニュースを見るとき、漫然と米国ひとまとめというくくりで考えるのではなく、リポーターがどこの出来事を伝えようとしているのか、ということを気にしてみる方が、その事件の政治的な背景がわかってよいと思います。いい悪いは別として、アメリカ人は何でも出来事をすべからく政治的な世界(ポリティカル・アリーナという)の中で考えるというか、それでしか考えないという習慣あるいは傾向があるので、このあたりのことを抑えておくことは大事なような気がします。

     

    今回の中間選挙再考

    もし、カリフォルニアで、共和党的な叫びが聞こえるとしたら、それはかなり異常な出来事ですし、中西部で、民主党的な叫びが聞こえるとしたら、それもまた、異常な出来事だという側面があるのです。そこで、この度の下院選挙の結果を改めてみてみると、モンタナとか、コロラド、ミネソタ、ルイジアナといった西部の農業州で民主党が勝っていますが、本来民主党の地盤であるハズのニューイングランド北部が共和党支持に回っているという部分があります。

     

     

    2018年中間選挙の最終結果 http://nymag.com/intelligencer/article/2018-midterm-election-tracker-house.htmlより

     

    おそらくトランプがこの度の中間選挙で、勝利宣言をしたというのは、本来かなり強固な民主党、リベラル派の牙城であった東北部のニューイングランドでの議席を確保している、という部分もあると思うのです。

     

    キリスト教的に言うと、このあたりのニューイングランド地域というのは、元来、所謂福音派と呼ばれる人たちのプレゼンスよりも、民主党支持層との親和性の高い、組合派、社会派のキリスト教(現在の同志社系統の神学的な雰囲気の強いグループ)とのつながりの強い地域(青であるであろうと一般に考えられる地域)であるのです。その地域で共和党支持(赤で表現された地域)に代わってしまっている点が2018年の中間選挙の特徴であるように思います。

     

     

    次回、このような構造を踏まえ特にキリスト教の中でも、福音派と米国政治との関係を考えてみることをしてみたい、と思います。
     

     

     

     

     

    コメント
    コメントする








     
    Calendar
          1
    2345678
    9101112131415
    16171819202122
    23242526272829
    30      
    << June 2019 >>
    ブクログ
    G
    Selected Entries
    Categories
    Archives
    Recent Comment
    Links
    Profile
    Search this site.
    Others
    Mobile
    qrcode
    Powered by
    30days Album
    無料ブログ作成サービス JUGEM