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2017.10.16 Monday

人口減少社会と地方部と教会の悩み(その2)

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     今回の連載は、地方都市、というよりは、町村部における地域社会とそこにある教会ということについての記事であるが、前回、少し、教会について触れてきたので、今回は地域社会の側について、ウェイトを置いてもう少し書いてみたいと思う。

     

     

    地方都市以下の町村部の悲哀あるある

     最近は、テレビやラジオ、インターネットがあるので、これらのメディア経由で入ってくる情報が遅れるということはないのだが、雑誌や書籍は、確実に時差というよりは、流通日差(時差)がある。例えば、東京のある雑誌販売店では、雑誌は発売日前日に入る販売店もあるのに(なぜだか、タバコ屋のようなお店であるのに発売日の夕方に売っている店があるのは知っている)、神戸あたりで当日販売であっても、兵庫県でも山陽本線沿線から外れると、発売翌日販売になるところもあるらしい。昔仕事を一緒にしていた先生の情報によると、福岡市内あたりでも、1日から3日、長崎県内では、2日から3日は確実に遅れると聞いている。

     

    大都市住民にとってみれば、一日2回新聞が配達されるのが当たり前かもしれないが、案外そういう地域は少ないのだ。新聞が一日2回発行され、配達されるためには、それだけの需要があるということであり、それだけの需要がないところでは、長官のみのところが案外多いのではないか、と思う。また、新聞にしても、人口稠密地帯だと、自宅まで配達してもらえるが、地方部だと、その地域の住民数件分の皆さん向けの新聞受けが集落の入り口にあるのみ、というところもある。最初にそれを見たときには何のことかわからなかったが地元の人に聞いて、それが当たり前だという社会が存在しているということを数年前に知った時にちょっとびっくりした。

     

     

     あるいはノーベル賞候補として話題に登る村上春樹本なんかでも、地方部は配本が遅れる。あるいは販売当日に配本がない書店も結構あるだろう。まぁ、新刊書や雑誌や新聞メディアに乗っている本を手に取るのが一日二日遅れたところで、どうってことはないのだが、そもそも、今、町村部の書店数はどんどん激減しており、地方部での書店は絶滅危惧ビジネスの一つであり地方部の町村部で書店飲みの営業で存続している書店はかなり少ないのではないだろうか。先日お伺いした兵庫県の北側の牛とカニの名産地の近くの街の公民館に「本を読みましょう」というのぼりが立っていた。帰りがけに町の新しいバイパス沿いの商店街の中心地(商工会館の近く)の書店の一つを道路上から見たら、書店という看板をかけながら、おそらく冠婚葬祭向けと思われるカタログギフトショップや喫茶店も併設して営業しておられるご様子であった。書店だけでは経営が苦しいのかなぁ、という様子が伺われた。

     

     

    旧道の沿道の商店街の書店

     

    バイパス沿いの書店(ギフトショップと喫茶店が併設された書店)

     

    写真は、いずれも、Google Mapのストリートビューで見た訪問先の書店の外から見た画像である。

     

     

    「本を読みましょう」という標語をみて

    ところで、世俗の仕事(会議)があった役所近くの公民館にはその地域の住民向けの標語が掲げてあって、「挨拶をしましょう」ともう一つの標語(何だったか忘れた)と並んで「本を読みましょう」という標語が掲げてあった。

     

    その町には、先にも述べたが、書店は2軒あったらしいが、そのうち一つの書店は、書店と喫茶店とカタログギフトショップであることを考えると、書店で、販売されている書籍のバラエティはおそらくかなり少ないだろうし、その中から自分の趣味に合う本を選べと言われても…ということもあるかもしれない。こう考えると書店経由での書籍へのアクセスは、かなり厳しいと思わざるをえないので、「本を読みましょう」という標語を掲げておられるということは、多分、そこの町の公民館に併設されていると思われる図書館には、きっと本がたくさん置いてあるのだろう、とは思った。あえて公民館に入って確かめることはしなかったが。

     

    ちょっと気になったので、地方部の現状を確かめるべく、兵庫県の市区町村別図書の蔵書数を確かめて見ようと思ったが、検索で引っかかってこなかった。そこで検索した際に見つかった岡山県のデータが見つかったので、岡山県の市区町村図書館の情報を調べてみることにした。それで、人口一人当たりの市町村別蔵書数という地図を作ってみた(こういうのを作ってそれが何を表していて、このような地図から何が言えそうなのかを考えることが、本業である)。

     

     

    市町村別公立図書館所蔵図書数

     

    まず、全体の図書館の保有数では、人口がある程度大きく、財政的に豊かだと思われる岡山市がトップで、さらに、倉敷市がそれに続いている。しかし、全体で見てしまうと、都市域が広い死には、分館などもある可能性が大きいので、都市規模が大きい年のほうが有利になる。そこで、人口一人あたりで考えてみるとどうなるのか、ということでその指標で、作ったのが以下の図である。

     

    一人あたりで見ると、どうも人口の少ない町部では、母数になる人口が少ないこと、どうしても最低限の図書は置かなければならないこともあり、必置図書数というものがあるので、そうなると、人口が少ないほうが一人あたりの図書数で計測した場合、有利になる。

     

    岡山県市町村別人口一人あたり図書冊数

     

    上の図でもなんとなくは分かるが、実際の一人あたりの本の数がどの市町が多いのかをわかりやすくするため、3次元化してみたのが以下の図である。こうなると、どうも人口の小さそうな市町間でも、指標値である、市町村の一人あたりと諸冊数自体にはかなりの差があることがわかるようになる。

    岡山県市町村別人口一人あたり図書冊数(3D化) 

     

    では、新規の図書等の資料購入に各自治体の人口一人当たり、年間に、どれくらい費やしたかを平成27年度について、図にしてみるとこんな感じになった。こうやって見ると、最も多いのは県東部の瀬戸内市が1位890円弱であり、ついで、2位は高梁市で770円前後、図書館がない村を除けば、県東部の市町では年間一人あたりの資料購入費用が150円以下の市が2市ある。こうやって見ると、図書館の資料の整備状況まではわからなくても、同じ県で、ここまで差があるのか、ということが分かってしまう。

     

    平成27年度の市町村別人口一人あたりの資料購入費用
     

     

     

     

    文化的なイベントへの限られたアクセシビリティ
    地方部では、美術や音楽などのアクセシビリティが限られる。CDやDVDで音楽鑑賞などができるとは言うものの、会場で生み出される一種独特な雰囲気は楽しめない。また、今はネットで様々な絵画や彫刻が見られるとはいえ、2Kや4K画像フォーマットでは、かなり詳細に、確認できるとは言うものの、現物にはかなわないところがある。

     

    キリスト教に関しても、有名講師の講演会があり、一般に公開されているとは言うものの、それに参加するためには、大抵の信徒にとっての業務日の月曜日(牧師の休業日なので、この曜日がイベント開催日として、選ばれることが多い)が多いし、更に東京でのみ開催されることが多いので、交通費はかかるは、下手をすれば、1泊になるわ、地方在住者にとっては、参加がためらわれる感じのことが多いし、おまけに、この手のイベントは、ネットでライブ配信されないことが多い。また、後日DVDが発売されても、その情報は会場にいない人には流れてこないことが多い。このような点では、東京周辺の南関東の信徒さんは、アクセシビリティの点でかなり恵まれているようには思う。

     

    空間というか、距離というのは、差別的ではある。アクセシビリティ(参加しやすさ)に、距離は確実に影響するのである。そして、距離は人の間に格差を生み出し、近い人は、影響を受けやすいし、遠くの場合、影響を受けにくくなるのであり、空間は差別を生み出したり、差別を強化するためにも用いられたりする。聖書の中で、イエスの親族がイエスに向かっていった発言にも、それは現れている。イエスは周辺と呼ばれたガリラヤでその活動の大半の時期を過ごし、イスラエルの失われた羊のところを回られたように思うのだ。

     

    【口語訳聖書 ヨハネによる福音書】

     7:3 そこで、イエスの兄弟たちがイエスに言った、「あなたがしておられるわざを弟子たちにも見せるために、ここを去りユダヤに行ってはいかがです。
     7:4 自分を公けにあらわそうと思っている人で、隠れて仕事をするものはありません。あなたがこれらのことをするからには、自分をはっきりと世にあらわしなさい」。

     

     

    話を元の話に戻し、キリスト教の世界以外の部分での様々な文化的なイベントについても目を転じると、人数が少ないゆえに集客が期待できないからと、クラッシック音楽系だと、有名音楽家のコンサートに接する機会も極めて限られる。J-ポップのコンサートはあっても、ジャズなんかでもコンサートはなかったりする。また、美術館で、展覧会の巡回先になることも限られている。映画にしても、結局劇場で見ることができない作品も地方部では多い。

     

    こういうことを考えてみると、先程図書館について、簡単な分析を試みてみたが、それと同様のことを文化的なイベントについてやってみると面白いかもしれない。そのためには、美術や、音楽などのイベントへの支出を各自治体の決算書から取ってきたり、その文化的行事へのイベントの参加者数のデータを入手しなければならないが、これらのデータが入手できれば、それぞれの基礎自治体(市町村)がどのような文化行政に重点を置いているのか、どのようなことに各自治体の住民の関心が高いかということが多少はわかるかもしれない。

     

    次回へと続く

     

     

     

     

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